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原 著

野外豚からの牛ウイルス性下痢ウイルス抗体の検出

高久英徳   五十嵐康博   清原博光   大山和幸   黒澤 篤
齋藤真里子   宮根和弘   平松美裕子

北海道根室家畜保健衛生所(〒086-0214 野付郡別海町別海緑町69)

(2006年10月26日受付・2007年7月6日受理)

要   約

 北海道の一養豚場の豚が2002年および2003年に市販の豚コレラELISAキットで抗体陽性と判定されたが,病性鑑定の結果から豚コレラの発生は否定的と考えられた.ELISAで抗体陽性と判定された豚はすべて豚コレラワクチン未接種であったので,豚コレラウイルス(CSFV)と同じペスチウイルス属の牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV),ボーダー病ウイルス(BDV)を指示ウイルスに交差中和試験を行い,当該豚に感染したペスチウイルスの特定を行った.その結果,BVDV NOSE株に対する抗体価がCSFVに対するそれよりも著しく高かった.これらの成績と豚と牛が過去に間接的に接触する機会があったという疫学調査の結果から,ELISAで抗体陽性と判定された豚は過去にBVDVに感染したものと考えられる.本成績から,豚コレラの診断においては豚へのBVDVおよびBDV感染も考慮する必要があることが示された.
―キーワード:牛ウイルス性下痢ウイルス,豚コレラウイルス,豚.

------------------------------日獣会誌 60,125〜130(2007)

 

† 連絡責任者: 高久英徳(北海道根室家畜保健衛生所)
〒086-0214 野付郡別海町別海緑町69
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