要 約
野草を給与された放牧中のミニチュアホース(ファラベラ種)が,旋回,歩様異常,起立不能,痙攣,遊泳運動,呼吸困難を呈し,2日間で4頭死亡した.剖検所見では,血液の凝固不全,肺や脳のうっ血,各種臓器の脆弱化や出血斑が認められた.野草採取場所にはドクゼリが自生していたが,胃内容物は細かく噛み砕かれ,ドクゼリを摂食したか判別困難だったため,ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)でドクゼリ中毒の原因であるシクトキシンの検出を試みた.その結果,採取したドクゼリと死亡馬2頭の胃内容物からシクトキシンが検出されたため,ドクゼリによる中毒と診断した.本症例は,わが国で始めてGC-MSによるシクトキシン検出により確定診断された家畜のドクゼリ中毒例である.
―キーワード:馬,中毒,ドクゼリ.
------------------------------日獣会誌 60,47〜51(2007) |
*現所属:宮城県大崎家畜保健衛生所 |
† 連絡責任者: |
竹田百合子(宮城県仙台家畜保健衛生所)
〒983-0832 仙台市宮城野区安養寺3-11-22
TEL
022-257-0921 FAX 022-295-0984
E-mail : takeda-yu889@pref.miyagi.jp |
|