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タモギダケエキスの併用が奏功した再発性犬膿皮症の1例 |
小川美由紀3) 原 万里子1) 高橋久美1) 中村遊香4) 加納 塁1)†
海方 忍2) 冨山隆広2) 佐々木栄英1)
1)日本大学生物資源科学部(〒252-8510 藤沢市亀井野1866) 2)(株) スリービー(〒069-0238 空知郡南幌町元町1-1-1) 3)横浜市 開業(〒231-0804 横浜市中区本牧宮原7-1) 4)共立薬品(株) (〒102-0074 千代田区九段南1-5-10) |
要 約
甲状腺機能低下症に併発した重度な犬の膿皮症に甲状腺ホルモン製剤と抗菌剤による治療を施したが,十分に反応しなかった.そこで,タモギダケエキスを併用した結果,タモギダケエキス投与開始1週間後から皮膚の化膿病巣は改善に向かい4カ月後には完全に治癒し,全身性の脱毛も回復した.タモギダケエキス投与後の実験犬では,血清中のβ-Dグルカン量に変化がなかった.しかし,好中球貪食能はルミノール反応により軽度に上昇していることが確認でき,さらにRT-PCR法により単核球におけるIL-8のmRNAの発現が増強した.以上の結果から,タモギダケエキスに含まれるβ-Dグルカンが消化管のリンパ装置でマクロファージに取り込まれ,IL-8の発現を増強し好中球の貪食能を高めたことが,膿皮症の治療に関与したものと考えられた.
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