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原 著

食肉残留性のアンピシリンを含むペニシリン系抗生物質の
高速液体クロマトグラフィーによる同時分析改良法

松本浩明1)   牛水 徹2)   赤坂和昭3)   齋藤忠夫4)†

1)仙台市健康福祉局食肉衛生検査所(〒983-0034 仙台市宮城野区扇町6-3-6)
2)仙台市健康福祉局保健医療課(〒980-0803 仙台市青葉区国分町3-7-1)
3)東北大学大学院生命科学研究科(〒981-8555 仙台市青葉区堤通雨宮町1-1)
4)東北大学大学院農学研究科(〒981-8555 仙台市青葉区堤通雨宮町1-1)

(2005年11月14日受付・2006年5月8日受理)

要   約

 牛および豚の筋肉および腎臓に残留する可能性のあるペニシリンG(PCG),オキサシリン(MPIPC),クロキサシリン(MCIPC),ジクロキサシリン(MDIPC),ナフシリン(NFPC)およびアンピシリン(ABPC)の計6種類のペニシリン系抗生物質(PCs)の蛍光HPLCを用いた同時分析法を開発した.ABPCのカラム保持時間は移動相のpHと組成を検討して延長させ,試料抽出段階ではtC18カートリッジを新たに採用した.各PCsを0.05μg/gおよび0.20μg/gを添加した食肉試料での回収率は,ABPCで80〜98%の高い数値が得られ,PCG,MPIPC,MCIPC,MDIPCおよびNFPCにおいて,それぞれ71〜75%,65〜71%,63〜69%,60〜63%および61〜66%であった.本法による試料中での検出限界は,PCGで5ng/g,その他PCsで10ng/gであり,食肉衛生検査所での分析方法として十分に実用的であると考えられた.
―キーワード:アンピシリン,ペニシリンG,食肉試料,蛍光誘導体化,HPLC.

------------------------------日獣会誌 59,696〜702(2006)

 

† 連絡責任者: 齋藤忠夫(東北大学大学院農学研究科生物産業創成科学専攻食品機能健康科学講座動物資源化学研究室)
〒981-8555 仙台市青葉区堤通雨宮町1-1
TEL 022-717-8711 FAX 022-717-8715