要 約
黒毛和種肥育牛の枝肉前切り断面における筋病変(いわゆる筋肉炎,シコリ)の発生原因および好発要因を明らかにするため,種雄牛および肥育農家ごとの発生率を調査した.まず,筋病変が発生した個体の種雄牛を調べた結果,筋病変の発生に及ぼす特定の種雄牛の影響はほとんど認められなかった.筋病変の発生率は,種雄牛の系統別にみると,中土井系よりも気高系および藤良系の産子で高かった.さらに,約30%の産子で筋病変が発生した種雄牛の掛け合わせが2例認められた.次に,肥育農家別の筋病変の発生率は,大規模出荷者の間では差は認められなかったが,10%以上の個体に筋病変が発生した小規模出荷者もあった.以上の結果,黒毛和種牛の筋病変の発生には遺伝的要因と肥育方法のいずれも関与していることが示唆された.
―キーワード:種雄牛系統,黒毛和種肥育牛,筋病変.
------------------------------日獣会誌 59,623〜625(2006) |
† 連絡責任者: |
池田幸司(京都市衛生公害研究所病理部門)
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