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原 著

めん羊牧場における捻転胃虫症の被害と駆虫対策の検討

柄 武志1)†  中川和克2)  川口めぐみ3)  山西富野4)  中谷英嗣4)
松本容二4)  國吉佐知子4)  村上久志5)

1)鳥取大学農学部(〒680-8553 鳥取市湖山町南4-101)
2)山口県農業共済組合連合会(〒754-0002 山口市小郡下郷2276-6)
3)山口県西部家畜保健衛生所(〒750-0421 下関市豊田町殿敷1892)
4)山口県中部家畜保健衛生所(〒754-0897 山口市嘉川671-5)
5)山口県農林水産部畜産振興課(〒753-8501 山口市滝町1-1)

(2005年2月14日受付・2006年4月4日受理)

要   約

 クエン酸ジエチルカルバマジン製剤を定期的に投与していたAめん羊牧場で,捻転胃虫症によるめん羊の高率の斃死例が認められていた.そこでイベルメクチン(IVM)または塩酸レバミゾール(LEV)製剤を用いた駆虫プログラムを3年間実施した結果,20%前後で推移していた死亡率は減少し,3年目に2.8%となった.駆虫薬投与にともなう虫卵数(EPG)の変化は経皮吸収性IVM剤でほとんどなかったが,注射用IVM剤および経口用LEV剤の1カ月間隔投与で,平均EPGはそれぞれ5418.5から3.2および98.2から1.9と有意に減少し,駆虫効果がみられた.しかし,IVM剤の2カ月間隔投与では平均EPGが120.5から41.1と減少したものの有意差はなく,1カ月間隔投与より駆虫効果は低かった.さらにIVM剤およびLEV剤の両駆虫薬では1回目投与の良好な駆虫効果に対し,2回目以降では駆虫率が低下する傾向がみられ,当牧場での耐性株の発生が危惧された.
―キーワード:捻転胃虫症,イベルメクチン,レバミゾール,めん羊.
------------------------------日獣会誌 59,607〜611(2006)

 

† 連絡責任者: 柄 武志 (鳥取大学農学部獣医画像診断学研究室)
〒680-8553 鳥取市湖山町南4-101
TEL ・FAX 0857-31-5434