要 約
クエン酸ジエチルカルバマジン製剤を定期的に投与していたAめん羊牧場で,捻転胃虫症によるめん羊の高率の斃死例が認められていた.そこでイベルメクチン(IVM)または塩酸レバミゾール(LEV)製剤を用いた駆虫プログラムを3年間実施した結果,20%前後で推移していた死亡率は減少し,3年目に2.8%となった.駆虫薬投与にともなう虫卵数(EPG)の変化は経皮吸収性IVM剤でほとんどなかったが,注射用IVM剤および経口用LEV剤の1カ月間隔投与で,平均EPGはそれぞれ5418.5から3.2および98.2から1.9と有意に減少し,駆虫効果がみられた.しかし,IVM剤の2カ月間隔投与では平均EPGが120.5から41.1と減少したものの有意差はなく,1カ月間隔投与より駆虫効果は低かった.さらにIVM剤およびLEV剤の両駆虫薬では1回目投与の良好な駆虫効果に対し,2回目以降では駆虫率が低下する傾向がみられ,当牧場での耐性株の発生が危惧された.
―キーワード:捻転胃虫症,イベルメクチン,レバミゾール,めん羊.
------------------------------日獣会誌 59,607〜611(2006) |
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柄 武志 (鳥取大学農学部獣医画像診断学研究室)
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