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猫におけるフサリウム症の1例 |
上岡尚民1)† 上岡孝子1) 日笠喜朗2) 村瀬敏之2) 小菅旬子3)
坂井 聡3) 後藤義孝3)
1)広島県 開業(〒730-0823 広島市中区吉島西1-28-12) 2)鳥取大学農学部(〒680-8553 鳥取市湖山町南4-101) 3)宮崎大学農学部(〒889-2192 宮崎市学園木花台西1-1) |
15歳齢避妊雌猫の右前肢甲および第III〜V指間部に,抗生物質に反応しない肉芽を伴った膿瘍を認めた.病変部の生検の病理組織検査を行った結果,隔壁のある真菌による慢性化膿性肉芽腫性炎と診断された.真菌培養の結果,Fusarium
oxysporum と同定された.当初ケトコナゾールを投与したが反応なく,逆に病変部は悪化し,肝機能障害や下痢などの副作用も認められた.いっぽう,イトラコナゾールに対しては副作用も無く良好な反応を示し,約3カ月で病変部が寛解した.本例はわが国における猫のフサリウム症と診断された最初の症例である.
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