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行政・獣医事

ケタミンの麻薬指定の動きと当面の対応
(その4 麻薬指定に係る政令の公布)

 ケタミンの麻薬指定に関しては,本誌第59巻第2号において,[1] 当面の麻薬指定に係る動きと対応に関する本会から地方獣医師会への通知,[2] 麻薬指定による動物医療現場の混乱回避を図るべく行った厚生労働省,農林水産省及びケタミン製剤を供給する製薬企業への要請活動,[3] 今回の麻薬指定に至る厚生労働省からの概要説明,また,第59巻第4号においては,[4] 東京都における麻薬取扱いにかかわる規制の現状について記事掲載し,情報提供に努めてきたところである.
 このたび,3月23日付けで,ケタミンの麻薬指定に係る「麻薬,麻薬原料植物,向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令の一部を改正する政令」が公布され,その施行に関する厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長からの通知について,本会から地方獣医師会長あて別紙のとおり照会し,関係獣医師への周知を依頼した.なお,ケタミンの麻薬指定に係る改正規定は,平成19年1月1日から施行される.

 

【別 紙】
18日獣発第3号
平成18年4月6日
地方獣医師会会長 各位
社団法人 日本獣医師会
会 長 山根義久
(公印及び契印の押印は省略)
麻薬,麻薬原料植物,向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令の一部を改正する政令の施行について(通知)
 
 このことについて,平成18年3月23日付け薬食監麻発第0323022号をもって,厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長から別添写しのとおり通知があったので,貴会関係者に周知願います.
 本通知は,平成18年3月23日政令第59号をもって,麻薬,麻薬原料植物,向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令(平成2年政令第238号)が改正され,ケタミン等の物質を麻薬に指定したこと及び施行期日,施行に当たっての留意事項等について各都道府県知事及び各地方厚生(支)局長あてに通知したので内容を了知の上,関係者に周知いただきたいとするものです.
 なお,本件の対応等については,逐次日本獣医師会雑誌及び本会ホームページに掲載してきたところです.今後ともこれらの情報媒体を通じ情報提供することとしているのでこの旨ご了知の上,貴会関係獣医師に対する周知の程よろしく対応願います.

 

【別 紙】

薬食監麻発第0323022号
平成18年3月23日
日本獣医師会会長 殿
 厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長

麻薬,麻薬原料植物,向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令の一部を改正する政令の施行について(通知)
 
 平成18年3月23日政令第59号をもって,麻薬,麻薬原料植物,向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令(平成2年政令第238号)が改正され,今般,その施行について,各都道府県知事及び各地方厚生(支)局長あて別添のとおり通知したので,内容を御了知の上,関係機関に周知されるようお願いします.
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(別 添)
薬食発第0323014号
平成18年3月23日
都道府県知事 殿
 各地方厚生(支)局長 殿
厚生労働省医薬食品局長
麻薬,麻薬原料植物,向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令の一部を改正する政令の施行について(通知)
 
 平成18年3月23日政令第59号をもって,麻薬,麻薬原料植物,向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令(平成2年政令第238号.以下「政令」という.)が,別添のとおり一部改正されたので,下記事項について御了知の上,関係各方面に対する周知徹底及び適切な指導方御配慮願いたい.

第1 政令改正の概要等
1.改正の概要
 次に掲げる物質については,麻薬と同種の有害作用を有すること及び同種の濫用のおそれが確認されたことから,これらを新たに麻薬として指定するため,「麻薬,麻薬原料植物,向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令」を改正したものである.
[1] 2-(2-クロロフェニル)-2-(メチルアミノ)シクロヘキサノン(別名ケタミン)
[2] 2・5-ジメトキシ-4-(プロピルチオ)フェネチルアミン
[3] N-メチル-α-エチル-3・4-(メチレンジオキシ)フェネチルアミン(別名MBDB)
2.政令改正の内容
 次の3物質を麻薬に指定したこと.(第一条関係)
[1] 2-(2-クロロフェニル)-2-(メチルアミノ)シクロヘキサノン(別名ケタミン)及びその塩類
[2] 2・5-ジメトキシ-4-(プロピルチオ)フェネチルアミン及びその塩類
[3] N-メチル-α-エチル-3・4-(メチレンジオキシ)フェネチルアミン(別名MBDB)及びその塩類
3.施行期日
 公布の日(平成18年3月23日)から起算して30日を経過した日(平成18年4月22日)から施行されるものであること.
 ただし,2-(2-クロロフェニル)-2-(メチルアミノ)シクロヘキサノン(別名ケタミン)については,多くの医療機関で医薬品として利用されており,流通経路での麻薬保管施設等の設置や,麻薬施用者免許等の免許手続等,円滑な施行のための準備に相当期間を要するため,平成19年1月1日から施行することとする.

第2 改正政令の施行に当たっての留意事項
[1] 医薬品製造業者,医師,歯科医師,獣医師,研究者及びその他の者が業務または研究のため,2-(2-クロロフェニル)-2-(メチルアミノ)シクロヘキサノン(別名ケタミン)等を継続して取り扱う場合には,施行日以降,麻薬及び向精神薬取締法の規制の適用を受けることとなるので,施行日までにあらかじめ麻薬施用者,麻薬研究者等の免許取得等必要な手続を行わせるとともに,麻薬指定後の記録,保管,届出等規制事項を指導し,管理不備に起因する事故が発生しないよう指導されたいこと.

[2] 既に麻薬研究者等の免許を取得している者が,2-(2-クロロフェニル)-2-(メチルアミノ)シクロヘキサノン(別名ケタミン)等を取り扱う場合には,すでに指定された麻薬と同様に麻薬指定後の記録,保管,届出等規制事項を指導し,管理不備に起因する事故が発生しないよう指導されたいこと.

[3] 上記[1] ,[2] について,麻薬及び向精神薬取締法第49条等の規定に基づく麻薬研究者等の届出書に記載する期初在庫数量は,平成18年4月22日現在の在庫数量を記載するよう指導されたいこと.
 ただし,2-(2-クロロフェニル)-2-(メチルアミノ)シクロヘキサノン(別名ケタミン)については,平成19年1月1日現在の在庫量を記載するよう指導されたいこと.

[4] 医薬品製造業者,研究者及びその他の者が所有している2-(2-クロロフェニル)-2-(メチルアミノ)シクロヘキサノン(別名ケタミン)等について,今後必要としないものについては,所有権放棄の指導を行うこと.なお,施行日以降に発見した場合は,所定の調査を行い状況に応じた措置をとられたいこと.

第3 物質の構造式等
[1] 化学名:2-(2-クロロフェニル)-2-(メチルアミノ)シクロヘキサノン
通称名:ケタミン
構 造:
物質の構造式等
[2] 化学名:2・5-ジメトキシ-4-(プロピルチオ)フェネチルアミン
通称名:2C-T-7
俗 称:T7,Blue Mystic,ZOOM
構 造:
物質の構造式等

[3] 化学名:N-メチル-α-エチル-3・4-(メチレンジオキシ)フェネチルアミン
通称名:MBDB
俗 称:EDEN,BLISS
構 造:
物質の構造式等