要 約
1995年から2005年までに石川県で分離された牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)32株について,遺伝子性状および血清学的解析を行った.E2遺伝子の分子系統樹解析では,石川県のBVDVは4つのサブグループに分けられ,BVDV-1aは9株(28.1%)であり,BVDV-1bは17株(53.1%)であった.交差中和試験では,BVDV-2とBVDV-1内の各サブグループとの抗原性状に有意な差(抗原類似率(R値):0.3〜1.1)が認められたが,BVDV-1のサブグループ内でも有意な差(1.0〜23.9)が認められた.国内のワクチン株のうちの一つである生ワクチンNo.
12株の免疫血清と各グループのR値は23.9以下であった.これらの結果から,石川県においては,従来から用いられてきた生ワクチン株や検査に用いる標準株とは抗原性状の異なるBVDVが優位に流行していることが示唆された.
―キーワード:牛ウイルス性下痢ウイルス,遺伝子解析,石川県,血清学的性状.
------------------------------日獣会誌 59,320〜324(2006) |
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長井 誠(石川県南部家畜保健衛生所)
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