要 約
6頭のホルスタイン種非泌乳牛(平均体重528kg)に20%グルコン酸カルシウム(Ca)液500mlおよび1,000mlを7〜10日間隔で左側および右側頸部の1カ所に皮下注射した.血中総Ca(tCa)およびイオン化Ca(iCa)濃度は投与前値に比べて投与後2,3時間に500ml群で平均0.37および0.20mM/L,1,000ml群では0.78および0.41mM/L上昇した.皮下注射24時間後の注射組織の生検所見は筋間の水腫,出血,炎症性細胞浸潤であった.次に分娩後3時間以内の6頭のホルスタイン種経産牛に20%グルコン酸Ca液を両側頸部に500mlずつ合計1,000ml皮下注射した.注射3時間後にtCaおよびiCaは投与前値に比べて0.79および0.34mM/L上昇し,有意な増加は12時間持続した.注射部位の腫脹は12時間でほぼ消失した.潜在性低Ca血症の治療に20%グルコン酸Ca液1,000mlの皮下注射は安全かつ有用であると考えられた.
―キーワード:グルコン酸カルシウム,乳牛,皮下注射.
------------------------------日獣会誌 59,184〜188(2006) |
† 連絡責任者: |
田口 清(酪農学園大学獣医学部生産動物医療学教室)
〒069-0836 江別市文京台緑町582
TEL 011-388-4856 |
|