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原 著

受胚牛の品種および人工初乳の給与が胚移植により
生産された黒毛和種雄子牛の発育および
血液成分に及ぼす影響

栗原昭廣1)   関根純二郎2)   太田康彦2)   菱沼 貢2)†
鈴木達行1)   音井威重3)

1)山口大学大学院連合獣医学研究科(〒753-8515 山口市吉田1677-1)
2)鳥取大学農学部(〒680-8553 鳥取市湖山町南4-101)
3)山口大学農学部(〒753-8515 山口市吉田1677-1)

(2004年9月8日受付・2005年10月14日受理)

要   約

 胚移植(ET)により生産された黒毛和種雄子牛の発育に及ぼす受胚牛の品種および人工初乳給与の影響を調査した.黒毛和種ET産子を,受胚牛の品種により黒毛和種群(JB),ホルスタイン種群(HF)および交雑種群(F1)に分類した.また,人工授精により生産された黒毛和種雄子牛を陽性対照群(PC)とし,初乳の代わりに市販人工初乳を給与した黒毛和種ET産子を陰性対照群(NC)とした.出生後8日に個別のペンで市販代用乳を給与し,61日齢で離乳し,180日齢まで体重測定と血液検査を実施した.HF群の出生時体重は,他の群よりも有意に重かった(P<0.05)が,1日当たり平均増体量と血液成分は,期間を通じて群間に有意差は認められなかった.本研究の結果,受胚牛の品種および人工初乳の給与は,黒毛和種ET産子の発育および血液成分に影響を与えないことが示唆された.
―キーワード:人工初乳,血液成分,受胚牛の品種,胚移植,黒毛和種雄子牛.
------------------------------日獣会誌 59,177〜183(2006)

 

† 連絡責任者: 菱沼 貢(鳥取大学農学部獣医学科獣医繁殖学教室)
〒680-8553 鳥取市湖山町南4-101
TEL ・FAX 0857-31-5438