小動物タイトル画像

短 報

Dirofilaria immitis の迷入により大脳に出血・壊死を
呈した犬1例


福永尚輝1)  森田剛仁1)†  澤田倍美1)  松本香菜子1)  岡本宗裕1)
植村隆司2)  春名章宏2)  島田章則1)

1)鳥取大学農学部(〒680-8553 鳥取市湖山町南4-101)
2)岡山県 開業(〒708-0806 津山市大田124-1)

(2004年11月1日受付・2005年6月8日受理)

要   約

 重度の神経症状を呈した2歳齢の犬を病理学的および寄生虫学的に検索した結果,Dirofilaria immitis の大脳への迷入が確認された.組織学的に大脳前頭葉,側頭葉および大脳基底核に多発性巣状の空洞形成(虫道),新鮮出血および実質壊死が認められ,病変の程度は右前頭葉において著明であった.本例が若齢であったこと,ならびに心臓におけるD. immitis の寄生数が3隻であったことを考慮すると,D. immitis 感染の機会が少ない場合でもD. immitis 迷入による致命的な脳傷害が起こりうることが示唆された.
―キーワード:迷入,脳,犬糸状虫.
------------------------------日獣会誌 58,751〜754(2005)

 

† 連絡責任者: 森田剛仁(鳥取大学農学部獣医学科獣医病理学教室)
〒680-8553 鳥取市湖山町南4-101
TEL ・FAX 0857-31-5424