要 約
沖縄県に生息する天然記念物のカラスバト(Columba janthina)にHaemoproteus sp. およびミクロフィラリアの二重感染を認めた.Haemoproteus sp.は,成長したガメートサイトの形態と桿状のマラリア色素顆粒数から,ハト科で報告されている7種の内でH.
columbae に近似すると考えられた.ミクロフィラリアは被鞘を有し,体長(平均±標準偏差)は391.9±19.08μm,体幅は3.8±0.53μmと大型であったが,成虫の検出ができず種同定は不能であった.感染個体は外見上健康で,血液学的および血液生化学的検査値にも異常を認めなかった.しかし,血液原虫とミクロフィラリアについては病原性を有する可能性があるため,感染個体の経過観察および野生個体群の健康モニタリングが保全医学上必要である.カラスバトにおけるHaemoproteus sp.およびミクロフィラリア感染は初報告である.
―キーワード:住血寄生虫,保全医学,ヘモプロテウス,カラスバト,ミクロフィラリア.
------------------------------日獣会誌 58,613〜616(2005) |
† 連絡責任者: |
村田浩一
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