要 約
約2カ月前からの難治性貧血のため輸血による治療を受けていた12歳齢,雄の雑種猫が来院した.血液検査で汎血球減少症がみられ,血液化学検査では,血清総蛋白,血清クレアチニン,血清カルシウムの上昇がみられた.血清蛋白電気泳動では単クローン性ガンマグロブリン(M成分)血症が認められた.尿検査では,尿蛋白が認められ,尿蛋白の電気泳動でもM成分が認められた.免疫電気泳動において血清のM成分はIgA,尿中のM成分はベンス・ジョーンズ蛋白と確認された.X線検査では骨融解像は確認されなかった.骨髄検査では形質細胞の増加(59.8%)が認められ,赤芽球系細胞は他の血球系に比べて著しく低形成であった.これらの所見から高カルシウム血症と赤芽球癆を併発したIgA型多発性骨髄腫と診断した.
―キーワード:猫,免疫グロブリンA(IgA),多発性骨髄腫.
------------------------------日獣会誌 58,551〜554(2005) |
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下田哲也(山陽動物医療センター)
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