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平成9年(1997):大学基準協会は「獣医学教育に関する基準」を改訂.再度18講座以上,教員数72名以上を最低基準に設定.この年から全国大学獣医学関係代表者協議会(以下全国協議会と略称)を中心に再編整備運動が再燃.全国協議会は文科省に獣医学教育の国際基準適合の重要性を説明 |
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平成10年(1998):日本獣医師会のアンケート調査において,獣医学卒業生に対する臨床教育と公衆衛生教育がきわめて不十分であるとの強い批判が出る.唐木「獣医学教育の危機」日本獣医師会雑誌51(3)169を発表:関係者の協力を要請.西4大学及び東4大学の獣医学関係者がそれぞれ九州大学と東北大学への再編整備を合意 |
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平成10年9月:全国協議会長,国公立協議会長,私立協議会長,獣医師会長,獣医学会長等が「獣医学教育の充実について(要望)」を文部省高等教育局長に提出 |
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平成11年(1999):文部省科学研究費基盤研究A「獣医学教育の抜本的改善の方向と方法に関する研究」(研究代表者 唐木英明:平成11〜12年)が始まり改善運動を盛り上げる |
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平成12年(2000)3月:日本学術会議獣医学研究連絡委員会が「わが国の獣医学教育の抜本的改革に関する提言」を発表 |
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平成12年(2000)6月29日:九州大への再編を検討する第1回私的研究会が,九州大側8名と西4大学の各代表計12名で始まる |
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平成12年(2000)8月:全国48の国立教員養成大学・学部の再編のために「国立の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会」設置 |
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平成12年(2000)10月6日:第48回国公立協議会において,すべての大学が再編整備に参加することを確認 |
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平成12年(2000)10月17日:第103回全国国公立大学農学関係学部長会議は獣医学教育改善に関する基本姿勢の具体的な検討に入る |
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平成13年(2001)1月6日:東4大学獣医学関係者は新制大と旧帝大の枠を破り,再編先を北大と東大に変更することを確認 |
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平成13年(2001)2月:「獣医学教育のあり方に関する有識者懇談会」(黒川 清座長)より,改善を進めるべきとする答申を受ける.全国の新聞に獣医大学再編に関する記事が掲載される |
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平成13年(2001)4月:小泉内閣発足,大学の法人化検討開始.全国協議会による「獣医学教育の横断的評価報告」を実施.学部長会議「獣医学教育改善に関する臨時委員会」の質問状に回答 |
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平成13年(2001)6月:文科省は「国立大学の構造改革の方針」(いわゆる遠山プラン)発表.再編・統合により国立99大学を30程度に削減.優れた業績の大学に資金を重点的に配分.「トップ30」大学の育成を目指す.工藤局長(当時)談話「一県一大学は未来永劫の原則ではない.これからの発展を考えると金科玉条で保障されるわけではない」 |
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平成13年(2001)10月17日:第105回全国国公立大学農学関係学部長会議「獣医学教育改善に関する臨時委員会」の基本方針を承認.「新教育研究組織の規模は,72名以上の教官から成ることが望ましいが,それがただちに実現できない場合でも,当面これに準ずる規模としては,18名の教授を含む54名程度の教官から成る組織が必要最低限であろう」と述べる.獣医学教育関係者の主張が始めて公式に認められたものであり,関係者の夢が大きく膨らんだ |
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平成13年(2001)10月:九州大学獣医学府設置委員会への委員選出依頼に対して宮崎大,山口大とも拒否.東6大学は,帯畜大,北大,岐阜大グループ,岩手大,東京農工大,東大グループに分かれ,それぞれ再編時の教育組織,カリキュラムについて検討を開始.宮崎大では,山口大が九州大に獣医学府設置委員会の委員を出すのであれば,宮崎大も出すとの教授会決議 |
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平成13年(2001)10月:文部科学省科学研究費基盤研究A「獣医学教育の抜本的改善の方法及びその具体化に関する研究」(研究代表者 徳力幹彦:平成13〜14年)が始まる |
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平成13年(2001)11月:「国立の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会」は複数の大学・学部を統合する形態を答申.各地で反対運動が始まる. |
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平成14年(2002):山口大と鳥取大の2校再編凍結.九州大への宮崎大学獣医学科との2校先行案に山口大学長反対 |
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平成14年(2002)4月:宮崎大は九州大への再編以外に道がないことを学長と確認 |
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平成14年(2002)10月:岐阜大から東4大学学長懇談会に連合大学院の解消,再編の申し入れ |
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平成14年(2002)10月:山口大は新学長が獣医学部創設案提示 |
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平成14年(2002)12月:立山,田浦両教授が文部科学大臣宛に獣医学教育充実の依頼文を提出 |
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平成15年(2003)1月:若手教員115名が連名で全国協議会長に教育改革の抜本的改革の実現を要望 |
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平成15年(2003)2月5日:第1回国立大学における獣医学教育に関する協議(以下文科省協議会と略称)開催,その後各大学は様子見に入り改善運動は停滞.9月の第6回以後文科省協議会は開催されず年末を迎える |
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平成15年(2003)3月:文部科学省の意向を受けた山形大,宮城教育大,福島大の南東北国立3大学の教員養成課程再編・統合の協議に伴い,山形大教育学部が教員養成を一旦断念したが,県内で反発の声が高まり,山形大は新学部に小学校教員養成学科を開設する案を提示,高橋和雄知事ら県側の理解を得た.山形県内の混乱で3大学間の学長協議は休止 |
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平成15年(2003)10月:文科大臣,農水大臣,関係大学長に獣医学教育の早急な改善を求める署名運動を開始,教員だけでなく開業獣医師の賛同を得て,12月までに800名以上の署名を集める |
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平成16年(2004)3月18日:第7回文科省協議会が約半年ぶりに開催され,座長試案が提示される |
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平成16年(2004)4月6日:全国協議会長,国公立協議会長,私立協議会長,獣医師会長が河村文部科学大臣(当時)を訪問し,教育改善を求める獣医師の署名を添えて陳情 |
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平成16年(2004)7月5日:第8回文科省協議会において座長私案を一部改定の上了承.関係各大学は,国公立大学農学系学部長会議が決議した獣医学教育の改善策の精神を基本に据え,自主的・自律的に最大限努力すること,国は附属家畜病院などの施設・設備の整備改善を図るなど支援すること,複数の大学の有機的な連携により幅広くかつ厚みのある教育機能の強化を図る大学に国が支援するなどの重要な事項が盛り込まれたが,改善の期限や数量的目標は盛り込まれなかった.関係大学は当面の措置として教員36名を目標に改善に取り掛かった.獣医学教員の改善の熱意は急速に冷めていった. |
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平成16年(2004)11月:Guideline(河合塾)が特集「岐路に立つ獣医学教育」において教育の実態と改善の方向を特集.蛍雪時代が特集「全国大学農水畜産・獣医学部の総合的研究」を掲載 |