原 著

小売り店で購入した海産魚介類の寄生虫感染の実態調査

沈 明浩1,2)   梅原梓里2)   川上 泰2)   内田明彦2,3)†

山口県環境保健研究センター(〒753-0821 山口市葵2-5-67)

1)吉林農業大学食品工程学院(吉林省長春市新城大街2888号,中華人民共和国)
2)麻布大学環境保健学部・医動物学研究室(〒229-8501 相模原市淵野辺1-17-71)
3)(財)目黒寄生虫館(〒153-0064 目黒区下目黒4-1-1)

(2004年4月21日受付・2004年7月1日受理)

要   約

 2004年1月〜4月にかけて神奈川県内のスーパーの魚介類売り場から購入した海産魚介類について寄生虫の感染状況を調査した.調査魚類はハタハタ,サンマ,マイワシ,カタクチイワシ,スケトウダラ,マサバ,スルメイカの7種類で検出された寄生蠕虫は,アニサキス亜科幼線虫が5種の魚介類から検出され,それぞれの感染率はマサバ100%,スケトウダラ89%,スルメイカ45%,ハタハタ35%,カタクチイワシ2%でサンマ,マイワシからは検出されなかった.アニサキス亜科幼線虫の大部分はAnisakis-I型であった.その他Anisakis-II型,Pseudoterranova-A,B型が検出された.アニサキス幼虫の以外に,ニベレリアとテンタクラリア属条虫の幼虫,ラディノリンクス属(鉤頭虫類)の幼虫およびParahemiurus sardiniae(吸虫類)成虫が検出された.
―キーワード:アニサキス,海産魚介類,蠕虫類.
------------------------------日獣会誌 57,805〜808(2004)

 


† 連絡責任者: 内田明彦(麻布大学環境保健学部医動物学研究室)
〒229-8501 相模原市淵野辺1-17-71
TEL042-754-7111(内362) FAX 042-754-7661