原 著

山口県内の飼猫からのバルトネラ属菌の
分離と分離株の分子疫学的解析

冨田正章   矢端順子   富永 潔   松村健道

山口県環境保健研究センター(〒753-0821 山口市葵2-5-67)

(2004年1月6日受付・2004年6月23日受理)

要   約

 山口県内の飼猫の血液中におけるバルトネラ属菌の保菌状況を調査したところ,その15.8%(6/38)からバルトネラ属菌が分離された.菌が分離された6頭のうち,4頭はBartonella henselae,1頭はB. clarridgeiae,また1頭はB. henselaeB. clarridgeiaeの2菌種に混合感染していた.分離されたB. henselaeの5株の16S rRNA遺伝子型はすべてI型であった.また,流行する菌株のゲノムパターンをパルスフィールドゲル電気泳動法により解析したところ,B. clarridgeiaeの2株は同じパターンであったが,B. henselaeにおいては多様なゲノムの菌が分布していることが明らかとなった.
―キーワード:Bartonella clarridgeiaBartonella henselae,猫,猫ひっかき病.
------------------------------日獣会誌 57,663〜666(2004)

 


† 連絡責任者: 冨田正章(山口県環境保健研究センター)
〒753-0821 山口市葵2-5-67
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