短 報

イトラコナゾールで治療した猫白血病ウイルス陽性猫の
播種性クリプトコッカス症の1例


三川真由美1)   三川和博1)   伊東輝夫1)†   岡野久美子2)
内田和幸2)   小菅旬子2)   後藤義孝2)

1)宮崎県 開業(〒880-0842 宮崎市青葉町103-1)
2)宮崎大学農学部(〒889-2155 宮崎市学園木花台1-1)

(2003年11月20日受付・2004年4月12日受理)

要   約

 猫白血病ウイルス陽性の2歳の雑種猫が,多発性皮膚病,リンパ節腫大,眼振および対光反射の消失を示し,クリプトコッカス症と診断された.イトラコナゾール投与(10mg/kg,SID,po)によりこれらの症状は改善したが,6カ月後に投与日数を漸減したところ前眼房炎と乳腺部皮下腫瘤が現れた.イトラコナゾール連日投与の再開によりこれらの症状は改善し,初診から15カ月を経過した現在も薬剤の副作用はみられず良好な全身状態が維持されている.連日投与の継続を必要とするが,イトラコナゾール治療は播種性クリプトコッカス症の猫の長期管理に有用と思われた.
―キーワード:イトラコナゾール,クリプトコッカス症,猫白血病ウイルス.
------------------------------日獣会誌 57,583〜586(2004)

 

† 連絡責任者: 伊東輝夫(青葉動物病院)
〒880-0842 宮崎市青葉町103-1
TEL ・FAX 0985-22-1228