要 約
肉芽腫性髄膜脳炎を発症した4歳齢,雌のチワワに対し,糖質コルチコイドによる治療を行い,長期の寛解状態を維持することができた.発病時の運動失調,四肢麻痺,右半身の強直,左側への斜頸および眼振などの神経症状は,デキサメサゾンによる2週間の治療により改善した.その後,プレドニゾロン0.2〜0.5mg/kgを2日に1回経口投与することにより,2年半の間,寛解状態を維持することができた.しかし,治療開始後2年8〜9カ月目には,重度の運動障害,痙攣および情動異常が認められたため,予後不良と判断し安楽死後病理検査を実施した.肉眼所見では左小脳半球の髄膜肥厚を伴う矮小化が認められ,組織学的に本症例は播種性の肉芽腫性髄膜脳炎と診断された.
―キーワード:犬,糖質コルチコイド,肉芽腫性髄膜脳炎.
------------------------------日獣会誌 57,446〜450(2004) |
*現所属:赤塚犬猫動物病院(〒230-0012 横浜市鶴見区下末吉2-18-5)
† 連絡責任者: |
大和 修
(北海道大学大学院獣医学研究科診断治療学講座獣医内科学教室)
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