昨年のチュニジアでのWVCで経験なさった方も多いと思うが,地中海沿岸諸国の時間感覚はわれわれ日本人とはやや異なる.特にパーティーの類でそれが顕著となる.もっとも日本でも地方によっては○○時間と称し10分や20分遅れは当たり前ということもあったが,最近はあまり見られない.世の中忙しくなったのか,開会が予定より30分も遅れては腹を立てて帰ってしまう人も多い.しかし世界ではまだまだその地方,いや国民性を感じさせる時間感覚があることを覚悟しておく必要がある.
昔,帝国海軍に5分前精神というのがあると聞いたことがあるが,われわれ日本人はどうしても定刻前に約束の場所に駆けつけるのがまあ普通であろう.よく国民性を表すエピソードとして紹介されるジョークに,定刻前に来るのが日本人,定刻ぴったりに現れるのがドイツ人,10分遅れてくるのがアングロサクソン(英国人と米国人),30分遅れてくるのがフランス人,2時間遅れがイタリア人,そしてその時間まだベッドにいるのがスペイン人という話がある.実に言い得て妙だと思っている.
最近はアメリカ人が世界を制覇しているせいかどうか知らぬが,欧米での立食パーティーでは定刻より10分遅れがマナーであると聞いた.これは主催者への配慮もあるらしい.しかし,わが国での,特に政治家の励ます会などは少し遅れて行くと,ろくな食べ物は残っていない.ふんだくられた感じだけが残る.まあこれは特殊な例だが,一般的にわが国のパーティーでは開始直後に主催者の挨拶などの儀式があるため遅刻は厳禁である.終わりの方も日本特有の終わり方があり開始後1時間〜1時間半頃「中締め」という区切りがある.「お時間のある方は引き続きごゆっくり…」という外交辞令を鵜呑みにしてはいけない.中締めの本音は「これで終了,皆さんお引き取り下さい」という主催者サイドの宣言なのだ.中締め以降は事務局および関係者のご苦労さん会に変わる.
ところが欧米,特にラテン系の国での立食パーティーではそうはいかない.招待状や案内状の開始時刻は当てにならない.ある程度人が集まったら始まるようで,いつ始まったのかわからないままだらだらと始まる.そして終わりがまた不透明だ,いやエンドレスと考えておいた方がよい.夜のパーティーでは深夜に及ぶことは当たり前なので,帰りの足の確保は必定と心覚えておかなければならない.
ただしラテン系といえども,着席が指定されているパーティーは時間通りに始まり時間通りに終わるから不思議である.注意されたい.
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