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札幌市内の獣医師が,市内の室内で飼育されている犬の検診時に,糞便中に活発に動く0.2×2〜3mmの片節を見つけ(2002年12月10日頃),本研究の一環として,主任研究者所属機関(北海道大学)へエキノコックス糞便内抗原の検査依頼を依頼した(2002年12月13日受付). |
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検査の結果,エキノコックス糞便内抗原が強陽性となり,虫卵も多数検出されたことから,エキノコックスの感染があると判断した. |
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この犬は,札幌市中心部で室内飼いされている6カ月齢,雑種,中型犬で,飼い主によると,当該犬は散歩時に外で落ちているものをよく食べ,今年夏に旅行に行った際にも,ネズミを食べていたとのことである.ただし,これが原因で感染したのか,それとも他の場所で再びネズミを食べて感染したのかは不明である. |
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室内飼育犬からは初めてのエキノコックス虫卵陽性例であり,飼い主及びその家族への感染源となる可能性が高いことが推察され,健康危険情報として報告するものである. |
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そ の 他
担当獣医師には2002年12月13日の受付日にテニア科虫卵陽性であることを報告した.飼い主には,同日,担当獣医師を通して犬の拘束と駆虫,駆虫後の再検査,犬の糞便および汚染場所の熱湯または次亜塩素酸による消毒,および飼い主家族全員の血清検査を勧めた.また,関係者へも定期的な血清検査の必要性を説明した. |
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なお,「エキノコックスの生活環」および「ペットのエキノコックス診断・治療および虫卵対策」については北大・獣医・寄生虫学教室ホームページhttp://133.87.224.209/index.htmlを参照のこと. |