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東北夏祭りの先陣を切って,ここ福島県相馬地方では国の重要無形民俗文化財である「相馬野馬追祭」が7月23日から25日の3日間にわたり開催された. この祭りは,一千有余年の歴史を誇る日本を代表する伝統文化行事である. 祭りのスケジュールを紹介すると,23日には相馬中村神社から陣螺を合図に盛大に出陣式が行われ,総大将お迎え,陣羽織姿の騎馬武者による宵乗り競馬.24日は原町市の雲雀ケ原祭場地にて本祭りが行われ,全国から訪れた見物客はしばしの間,甲冑競馬,神旗争奪戦とさながらの戦国時代に酔いしれた. また,最終日の25日には小高町で素手で荒駒を捕獲し神前へ奉納する野馬懸が行われ3日間にわたる祭りを締めくくった. 特に,見せ場の7月24日は相馬,双葉地方の5郷から騎馬武者500騎が参加し,威風堂々の進軍を披露し,午後は祭りの呼び物である古式武具を纏った騎馬武者による甲冑競馬が行われ,先祖伝来の旗指し物をなびかせ砂塵を巻き上げ駆け抜ける姿は,まさに戦国時代そのものであり世界一の競馬といえよう. 競馬が終わると,本祭り最大の呼び物である神旗争奪戦が行われ,騎馬武者たちが,花火とともに打ち上げられ,空から舞い降りる御神旗を激しく奪い合う,勇壮果敢にして豪華絢爛なる戦国絵巻が展開された. 今年は,本会の五十嵐幸男会長に御臨席をいただき祭りに華を添えていただいた.
毎年,この伝統行事に実行委員会からの要請に基づき,騎馬救護班として祭りを陰で支えているのが,地元に開業している鹿山 忠先生と相双家畜保健衛生所員である. 騎馬救護の仕事は,おもに外傷(裂傷,挫傷)応急処置と熱射病治療が中心であり,大量の補液,栄養剤,強心剤,抗生剤等を準備し2台の救護車(家畜防疫車)によるフル出動となる. 今年は,例年になく涼しい中での祭りとなり,熱射病の治療は30頭と極端に少なかったが,例年であれば,この約4倍程度の診療となり,救護テントはさながら野戦病院となり所長はじめ所員総出の救護体制となる. 祭りも無事終了しホッとしているが,祭りが終わると騎馬武者達もそれぞれ,また,もとの職場へと戻り来年の祭りに向けての準備が始まる. 私どもも騎馬救護業務を通して,地域の畜産振興を兼ねて,祭りに貢献できることを大変幸せに感ずるとともに,また,来年も大勢の方が当地を訪れてくれることを期待して止まないのである. 皆様一見の価値があります.一度是非,この勇壮な祭りに出かけてみませんか.
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