マレック病ウイルス(Marek's disease virus)はヘルペスウイルス科の一種であり,その感染により全身的なTリンパ球の腫瘍性増殖を示す届出伝染病である.皮膚のフケにより空気伝播し,伝染力は非常に強い.特に,腫瘍原性株では脚・翼の麻痺を示し,解剖による肉眼所見として,肝臓などの主要臓器の腫大と白色腫瘍病変を形成し,治療法はなく致死的である.鶏には生ワクチンが接種されるものの,効果は腫瘍病変形成阻止に留まり,ウイルスの感染防止はできない.年に1万数千羽を超える鶏がこのウイルス感染により処分され,現在,もっとも被害の多い伝染病である.よって,マレック病に関わる研究者数も多く,たとえば,2001年度の獣医学会の講演のみを眺めても,北大,酪農大,岩手大,東大,岐阜大,国立感染研,動衛研,化血研,福島県食肉衛検などの発表があった. |
|