アニマルサイエンス(3)「イヌの動物学」

中間 實徳(山口大学名誉教授)
  ヒトは太古の昔から動物と種々のかかわりの中で生きてきている.これまで,われわれは時代とともにそれぞれの動物の特性を活かしていろいろな方面に利用してきた.いっぽう,日本では経済発展とともに都市化が進み,イヌ,ネコなどの愛玩動物以外は昔のように動物をみる機会も減ってきた.今回出版された『イヌの動物学』は「アニマルサイエンス[全5巻]」の第3巻にあたるもので,山口大学農学部獣医学科家畜内科学教室・猪熊 壽・助教授の執筆であり,著者の並々ならぬ意気込みが感じられる.本書はきわめて多くの文献を引用し,科学的な立場からイヌの歴史から特徴の他,体重が2kgに満たないチワワから100kgを超えるセントバーナードまで400種以上と品種が多いこと,ヒト社会のなかで狩猟犬,番犬,闘犬,警察犬,救助犬,麻薬検出犬,爆発物探知犬,聴導犬,盲導犬,介助犬,愛玩犬などと多くの用途があり,ヒトと深くかかわっていることなどを広範にわたって記載している.さらに,ヒトとのかかわりの中で人獣共通感染症,問題行動等にも触れ,今後ヒトとイヌがよりよい関係を築くにはどうしたらよいかを考察している.関心のある点をさらに知りたい場合には引用文献が役立つであろう.本書は獣医学や動物学あるいは畜産学を学ぶ学生や研究者のほか,小動物開業獣医師,動物園や獣医公衆衛生分野で働く獣医師,動物看護士,訓練士などアニマルサイエンスに関わる人々に薦められる良書である.
 また,このシリーズは,林 良博・東京大学農学部長と佐藤英明・東北大学農学研究科教授との編集によるもので,(1)ウマ(近藤誠司・北海道大学助教授),(2)ウシ(遠藤秀紀・国立科学博物館研究官),(4)ブタ(田中智夫・麻布大学教授),(5)ニワトリ(岡本 新・鹿児島大学助教授)の動物学も東京大学出版会より刊行されているもので,これらも合わせて読むことにより,両編集者の意図する動物の全体像を把握するのに役立つであろう.

猪熊 壽 著
A5判 216ページ
2001年9月5日刊
定価(本体価格3,200円+税)
発行 東京大学出版会

【お知らせ 】

雨宮淳三先生をしのぶ
岡本嘉六(鹿児島県獣医師会会員)
  鹿児島大学名誉教授の雨宮淳三先生が,11月7日,間質性肺炎のため御逝去されました.享年77歳.
 雨宮先生は,今秋の叙勲で勲三等旭日中綬章の栄誉を受け,お喜びになっていたところでした.先生は,昭和35年9月第五次南極地域観測隊に加わり,悪天候のため無人の南極昭和基地に置き去りにされたカラフト犬15頭のうち,奇跡的に生き残ったタロ,ジロを日本に連れ帰るというエピソードをお持ちです.これも学生時代から山岳部として活動してきた延長にあり,鹿児島大学山岳部の顧問としての功績から退官後「雨宮山荘」が霧島連山の一角に建立されたことにも表れています.10日に行われた葬儀・告別式には,奥様の追悼句「稜線に 惹かれし男 冬の旅」が祭壇に手向けられ,山岳関係者が全国から駆けつけました.
 先生は,栃木県宇都宮市出身で,東京大学農学部を卒業後,東京都衛生局を経て,昭和27年,設立間もない鹿児島大学農学部に着任され,獣医公衆衛生学および家畜衛生学を担当されました.鹿児島大学での教育・研究を通して,獣医学科のみならず鹿児島大学南方海域研究センターの設立・発展に尽力され,その幅広い視野と該博な知識により,数多くの有能な人材の輩出に著しく貢献されました.日本獣医学会や日本獣医公衆衛生学会等の学会運営に参画され,特に,故越智勇一先生の命を受けて九州地区の獣医公衆衛生学会設立に尽力されました.



【案 内 】

学校飼育動物に関する講演会の開催について
主 催: (社)滋賀県獣医師会
日 時: 平成14年2月3日(土) 13:30〜17:00
場 所: 滋賀県立女性センター研修室A
近江八幡市鷹飼町80-4
TEL 0748-37-3751
内 容: 「学校飼育動物への獣医師の関わり」
中川美穂子(東京獣医師会会員,日本小動物獣医師会学校飼育動物対策委員会副委員長)
問い合わせ先: 須藤獣医科病院 TEL 077-524-1790
対象: 獣医師会員
参加費: 無料



【新製品紹介】

「レイヤーミューンSE-NB」

 鶏の腸管におけるサルモネラ・エンテリティディスの定着の軽減およびニューカッスル病,鶏伝染性気管支炎の予防を行う不活化ワクチン.1剤で3疾病に効果があるため,注射労力および鶏へのストレス軽減が図れる.

発売日:平成13年11月12日
問い合わせ先:第一製薬(株)特薬事業部
TEL 03-3535-8167

「アモスタックLA注」

  国内で初めてアモキシシリンを有効成分とした牛(搾乳牛を除く),豚用肺炎治療用注射剤.既存の油性アンピシリン注射剤に比べて少ない投与回数で高い治療効果を示し,注射時の抵抗が少なく投与しやすい.

発売日:平成13年12月12日
問い合わせ先:第一製薬(株)特薬事業部
TEL 03-3535-8167



【表 彰 】
秋の叙勲・褒章

<叙 勲>>
勲二等瑞宝章
工藤宣夫(北海道獣医師会)
勲五等双光旭日章
茂木武雄(秋田県獣医師会)
勲三等旭日中綬章
光岡知足(東京都獣医師会)
<<褒 章>>
黄綬褒章
花島栄一(富山県獣医師会)




【人事異動 】
〔関係省庁〕
・農林水産省関係
 7月2日付
守永 美夫
総合食料局国際部技術協力課開発調査班課長補佐(衛生課国際検疫班課長補佐)
鎌川 浩之
衛生課付,国際獣疫事務局(フランス国パリ市)(総合食料局国際部国際調整課米州班課長補佐)
7月6日付
杉浦 勝明
衛生課国際衛生対策室長(衛生課総括及び総務班課長補佐)
小倉 弘明
牛乳乳製品課乳業班課長補佐(衛生課国内防疫班課長補佐)
池田 一樹
衛生課総括及び総務班課長補佐(食肉鶏卵課食肉流通班課長補佐)
山本  実
衛生課国内防疫班課長補佐(衛生課監視指導班課長補佐)
角田 隆則
衛生課監視指導班課長補佐(文部科学省科学技術・学術政策局計画官付計画官補佐)
吉村 史朗
動物検疫所検疫部長(衛生課国際衛生対策室長)
矢野 隆司
衛生課付,文部科学省出向(動物検疫所成田支所検疫第一課主任検疫官)
7月16日付
甲斐 誠三
畜産企画課庶務班課長補佐(衛生課庶務班課長補佐)
椎葉 和昭
衛生課庶務班課長補佐(競馬監督課競馬監督官)
鎌田 晶子
衛生課国際検疫班課長補佐(動物検疫所清水出張所長)



【 構成獣医師の訃報 】

森崎茂栄氏(長崎県南高来郡国見町土黒丁344)
 平成13年7月25日逝去,享年83歳,葬儀は7月26日森崎毎子氏により執り行われた.

徳永芳範氏(開業 茨城県稲敷郡阿見町阿見5254-4) 
 平成13年6月29日心筋梗塞のため逝去,享年64歳,葬儀は7月4日徳永数馬氏により執り行われた.

岡本鬨雄氏(兵庫県川西市栄町27-2-108)
 平成13年8月2日胃ガンのため逝去,享年56歳,葬儀は8月3日岡本憲治氏により執り行われた.

佐藤直美氏(大阪府守口市春日町1-13)
 平成13年7月26日逝去,享年92歳,葬儀は7月27日小宮 哲氏により執り行われた.

金子純一氏(開業 愛媛県松山市東石井町703-2)
 平成13年8月3日事故のため逝去,享年50歳,葬儀は8月5日金子朋子氏により執り行われた.

池田 亨氏(千葉県夷隅郡夷隅町苅谷42-2)
 平成13年8月8日脳梗塞のため逝去,享年70歳,葬儀は8月9日池田美津喜氏により執り行われた.

藤本 亮氏(開業 石川県金沢市鈴見台5-4-6)
 平成13年8月12日肝膿瘍のため逝去,享年45歳,葬儀は藤本裕美氏により執り行われた.

下田和伸氏(開業 福岡県直方市境323-22)
 平成13年8月17日逝去,享年52歳,葬儀は8月19日下田恵子氏により執り行われた.

沖田皖司氏(地方公務員 神奈川県相模原市橋本7-3-13)
 平成13年8月15日逝去,享年59歳,葬儀は8月18日沖田壽子氏により執り行われた.

土倉 猛氏(青森県弘前市堅田3-3)
 平成13年8月10日胃ガンのため逝去,享年73歳,葬儀は8月17日土倉タカ氏により執り行われた.

龍造寺 實氏
(長崎県長崎市高尾町45-28)
 平成13年8月20日肺炎のため逝去,享年79歳,葬儀は8月22日龍造寺忠實氏により執り行われた.

別所元茂氏(香川県木田郡三木町鹿22)
 平成13年8月19日肺炎のため逝去,享年80歳,葬儀は8月21日別所民康氏により執り行われた.

小川親蔵氏(群馬県館林市西本町10-15)
 平成13年8月25日肺炎のため逝去,享年88歳,葬儀は8月27日小川政生氏により執り行われた.

栗山秀雄氏
(岐阜県関市市平賀353-2)
 平成13年8月28日心筋梗塞のため逝去,享年72歳,葬儀は8月30日栗山盛伸氏により執り行われた.

国本嘉明氏
(山口県熊毛郡田布施町塩坪)
 平成13年8月20日肺ガンのため逝去,享年81歳,葬儀は8月22日国本和夫氏により執り行われた.

平川幸男氏(開業 宮崎県都城市梅北町10055)
 平成13年8月10日逝去,享年76歳,葬儀は8月12日平川久子氏により執り行われた.

玉置 満氏(三重県伊勢市中村町920-2)
 平成13年8月17日肺炎のため逝去,享年80歳,葬儀は8月19日玉置 肇氏により執り行われた.

石田 貢氏(開業 福島県大沼郡会津高田町永井野字漆原1352-10)
 平成13年9月1日急性心不全のため逝去,享年38歳,葬儀は9月4日石田万記子氏により執り行われた.

野本信男氏(千葉県印旛郡栄町安食2410-2)
 平成13年9月2日腎臓ガンのため逝去,享年75歳,葬儀は9月5日野本達也氏により執り行われた.

岡田栄吉氏(鹿児島県姶良郡隼人町東郷239-1)
 平成13年8月10日急性心不全のため逝去,享年95歳,葬儀は8月11日岡田良子氏により執り行われた.

中島寿夫氏(開業 鹿児島県鹿児島市吉野町3045)
 平成13年8月31日肺ガンのため逝去,享年78歳,葬儀は9月2日中島てル氏により執り行われた.

高山勝寛氏(開業 鹿児島県国分市野口町1-21)
 平成13年8月30日脳梗塞のため逝去,享年58歳,葬儀は9月2日高山通代氏により執り行われた.

福島義信氏(島根県出雲市西林木町493)
 平成13年8月29日事故のため逝去,享年68歳,葬儀は8月30日福島誠司氏により執り行われた.

新田 薫氏(島根県安来市九重町53-1)
 平成13年7月24日老衰のため逝去,享年88歳,葬儀は7月26日新田円爾氏により執り行われた.

東 志郎氏(石川県松任市倉光西2-19-8)
 平成13年8月30日肺ガンのため逝去,享年64歳,葬儀は東 義之氏により執り行われた.

松田重俊氏(開業 大分県大分市六坊南町2-16)
 平成13年9月7日逝去,享年90歳,葬儀は9月10日松田一幸氏により執り行われた.

落合昭彦氏(自営 長野県長野市川中島今井1674-13)
 平成13年7月31日肺ガンのため逝去,享年71歳,葬儀は8月1日落合悦子氏により執り行われた.

齋藤速美氏(開業 千葉県山武郡成東町木戸3913-2)
 平成13年9月11日肺水腫のため逝去,享年76歳,葬儀は9月14日齋藤 修氏により執り行われた.

石田一成氏(農業 鳥取県東伯郡大栄町島790)
 平成13年9月21日交通事故のため逝去,享年66歳,葬儀は9月24日石田幸彦氏により執り行われた.

丸山三郎氏(開業 宮崎県西諸県郡高原町大字西麓443-2)
 平成13年9月15日心不全のため逝去,享年82歳,葬儀は9月18日丸山フミ子氏により執り行われた.

岸田友房氏(兵庫県神崎郡神崎町根宇野891-1)
  平成13年9月30日急性心不全のため逝去,享年66歳,葬儀は10月3日岸田和也氏により執り行われた.

溝下 孝氏(鹿児島県曽於郡松山町尾野見2518)
 平成13年9月16日悪性リンパ腫のため逝去,享年86歳,葬儀は9月18日溝下カツ氏により執り行われた.
     
平成13年8月から10月までに所属地方獣医師会から報告のあった訃報を掲載しました.ご冥福をお祈り申しあげます.



【事 務 局 日 誌】

  11月23日 農林水産祭に五十嵐会長出席
11月27日 産業動物委員会
 11月29日 小動物委員会
 11月30日 岩手県獣医師会法人化30周年記念式典に五十嵐会長出席
12月4日 平成13年度中間監査会
12月5日 平成13年度第4回理事会
  平成13年度第1回全国獣医師会会長会議
12月7日 卒後臨床研修制度・専門医制度合同検討委員会
12月10日 日本獣医師会会報編集委員会
12月11日 日本獣医師会主催一般公開特別シンポジウム「炭疽の正しい理解のために」
12月19日 動物愛護・福祉対策検討委員会