【会 議】

第57回 通常総会

日本獣医師会第57回通常総会が6月23日(金),東京都港区の明治記念館で開催された.当日は,獣医師問題議員連盟,農林水産省,厚生省からのご来賓に臨席を賜り,盛会のうちに議事進行された.
日 時:平成12年6月23日(金) 13:00〜
場 所:明治記念館 2階「鳳凰の間」
出席者:〔日本獣医師会〕
会   長: 五十嵐幸男
副 会 長: 金川弘司,辻 弘一
専務理事: 松山 茂
地区理事: 森田 彰,大島寛一,中川秀樹,手塚泰文,田代昇一,
中川平八郎,瀧口次郎,景浦忠徳,藏内勇夫,
職域理事: 竹内 啓,山元敏進,清野光一,藤沢忠世(欠席:川西昭喜,
山崎省二)
監   事: 鈴木兵一,廣岡小波,原 京平
〔会  員〕 全国54都道府県市獣医師会(出席者109名)
〔来  賓〕
農林水産省: 永村武美畜産局審議官,松原謙一衛生課長,小野哲士衛生課課長補,前間 聡衛生課獣医療係長,三浦誠志経済局保険業務課長,
高橋喜久男保険業務課課長補佐
厚生省: 西本 至生活衛生局長,道野英司乳肉衛生課課長補佐
〔関係団体〕
・社団法人中央畜産会:
中瀬信三副会長
・社団
 法人日本獣医学会:
土井邦雄理事長
・日本中央競馬会: 岩月邦明馬事部長
・財団法人全国
 競馬・畜産振興会:
吉津榮一畜産振興課長
・社団法人全国
 動物薬品器材協会:
今村隆二理事長
・社団
 法人畜産技術協会:
藤田陽偉常務理事
・社団法人動物用
 生物学的製剤協会:
堤 孝正常務理事
・社団法人
 日本動物薬事協会:
畦地速見理事長
事務局:朝日光久事務局長ほか
議 事:
第1号議案:平成11年度事務事業報告及び決算報告の件
第2号議案:平成12年度事業計画及び収支予算の件
第3号議案:平成12年度会費及び賛助会費の件
第4号議案:日本獣医師会資産管理規程の一部改正の件
第5号議案:日本獣医師会定款の一部変更及び定款施行細則の一部改正の件
概  要
【開  会】
朝日事務局長から出席会員数が定足数を満たしており,本総会が成立する旨の報告が行われて開会する.
【日本獣医師会 五十嵐会長挨拶】
  今日は大変お足元の悪いところを各地からお集まりいただきまして,感謝申し上げます.なお,私ども開かれた獣医師会ということを目標に努力しておりまして,これまでは獣医師問題議員連盟の先生方および関係官庁のみにご臨席をいただいておりましたが,今回から中央畜産会の中瀬副会長,日本獣医学会の土井理事長をはじめ多数の関係団体のご臨席をいただいたことを厚く感謝申し上げます. 先般来,私もこの執行部に就任しましてから約1年にならんとしているところですが,お陰様で皆様の深いご理解とご協力によりまして,今日まで一つひとつ当面 の問題を解決してきておりますが,まず先般,皆さんご承知のとおり92年ぶりに口蹄疫が宮崎に発生し,続いて北海道にも発生いたしました.北海道においては有珠山の噴火という二重災難がありましたが,幸いにして農林水産省はじめ行政,民間の懸命なる協力によりまして,初動防疫がきわめて順調にいったということで,宮崎県の終息宣言が短期間のうちに出されたということは,国際的にもかなり評価が高くなっているようです.昨日もアジア地域ならびに英国から専門家を招いて,口蹄疫に関する会議がOIEによって開催されたようですし,特別 講演もございまして会員の皆様にもお聞き取りいただいたわけです.
  こうした有事に際して私たちの心構えが最も重要なことでございまして,今回は幸いに初動防疫が徹底し,そして世界に誇れるような短時間のうちに解決されたことを一つの経験にして,今後有事の際にわれわれは即決対応して,しかも的確なる処置によって国民に信頼感を深めなければならないということを,私は改めて感じているわけです.今回の事件を貴い教訓にしまして,火山の爆発,あるいはいまのような悪性急性伝染病の発生の際のわれわれの心構えをきちんとしていかなければならないと考えております.また有珠山災害につきましては,各地方獣医師会からそれぞれカンパしていただきましたことも心から感謝申し上げます.
  また,私ども平成9年からわれわれ自身の勉強ということ,すなわち生涯研修のあり方について,竹内理事を中心に3カ年にわたって検討してまいりまして,いよいよ今年は生涯研修事業を試行することにいたしましたので,これも皆さんの深いご理解,ご協力を得ながら,われわれの高い知識,そして良識ある獣医療というものを目指してどうか生涯教育事業に対するご協力を心からお願いしたいと思っております.
  また3番目には,すでに皆さんも熟知しておられるとおり,学校飼育動物の問題のことですが,続発する青少年の凶悪事件というようなことに関連しまして,文部省も非常に心痛めているわけです.小学校学習指導要領の中で,地域の獣医師と連携しなさいという主旨のことが明文化されました.望ましい動物飼育のあり方ということで,近く全国の関係学校に配布されることになっておりますが,この冊子の中に獣医師,あるいは獣医師会という言葉が五十数カ所に出てまいります.であるとすれば,われわれはやはり応召の義務,それから好むと好まざるとにかかわらず学校から相談があった場合には積極的に対応しなければならない時代に入っているということをご認識いただきたい.そして,社会奉仕ということはわれわれ社団法人の一つの大きな使命でもあろうと思いますので,この際,獣医師という立場から学校飼育動物に対する安全かつ円満な飼育が行われるようご指導をお願いしたいと思っております.なお,これにつきましては関東の群馬県では,知事以下非常に熱心に取り組んでおられるということに,またわれわれとしてもいい範例として受け継いでいきたいと考えています.
  さらにまた,今回の口蹄疫発生に関連しまして,狂犬病が何年もの間発生していないので予防注射は必要ないのではないかという巷の声もありますが,92年ぶりに口蹄疫のような悪性伝染病が入って来る.ましてや狂犬病の多発国は周辺にいっぱいあるわけです.また対象動物も増えているということですので,今年は秋に記念式典を催しまして,いままでの功労の方々の表彰,それから改めてここで狂犬病に対する防疫のあり方についての再構築をいたしたいと考えているわけです.
  また,今日は先ほどご紹介申し上げましたとおり,日本獣医学会におきましては,いままで以上に日本獣医師会と緊密な連絡を取っていこう,そして一丸となって国のために尽くそうではないかというご発想で,先般 両者間で役員懇談会を開催いたしました.今日お見えの土井理事長も,少なくともこういう総会にはお互いにエール交換をしようではないか,それから始まって共通 問題についてはシンポジウムを通じてお互いに学会活動の活性化というようなことに努力しようではないかというお誘いもありまして,私たちは好機に至るという感じでいま足並みを揃えているところです.
  なお,組織財政委員会からもいろいろな答申がございました.これも理事会において慎重な審議をして,取捨選択をしているわけです.それから先般 動物登録事業,有事の際もだいぶ必要なことでありますし,動物愛護の問題からもマイクロチップのことが今日話題となっておりますが,すでに先発の福岡県,あるいは愛知県等においてはかなりの実績をあげておりますが,今回大日本製薬とも覚書きを締結することができまして,とにかく早急に対応しよう,また近く厚生省にも,狂犬病予防に関連してマイクロチップによる個体識別 についてお願いすることにしております.いずれにいたしましても,この日本獣医師会が発展するためには,地方獣医師会が発展していただくことがまず第一である.地方会が幸福であれば,私たち日本獣医師会の幸せが来るんだ.宮沢賢治ではありませんが,世の中が幸せにならないとわれわれ自身も幸せにならない.そういう観点からしましても,どうかこれからも一層皆様のお知恵をいただき,またご協力をいただいて,永劫に栄える日本獣医師会を構築していきたいと思っておりますので,ご指導のほど請い願いまして,ご挨拶に代えます. 今日は,本当に多くのご来賓がおいでいただいたことに対しまして重ねて御礼を申し上げたいと思います.ありがとうございました.