「獣 医 師 の 職 場」(その86)

栃木県動物愛護指導センター

【名 称】栃木県動物愛護指導センター
【所在地】〒321-0166 栃木県宇都宮市今宮4-7-8
TEL 028-684-5458 FAX 028-684-5926
【沿 革】
  保健所で行っていた動物行政を一元化し,従来の飼養管理面の規制・指導を主体としたものから,低年齢層を含む多くの県民を対象として,動物とのふれあいを通じての動物愛護の普及や,犬や猫の正しい飼い方,人畜共通感染症の調査等を行う行政機関として,平成6年4月1日に設置された.
【組 織】
  栃木県保健福祉部に所属し,普及調査課,飼養管理課をもち,現在職員数は28名,そのうち獣医師は7名で動物愛護の普及啓発や適正な飼養管理の指導等の業務に携わっている.
【施 設】
  当センターは,宇都宮市の中心部から約6km南に位置し,周辺に県総合運動公園,遊園地や住居地域がある.敷地面積は12,000m2,建物延面積は事務室や手術室・試験検査室等がある管理棟関係が957m2,展示室・ふれあいドームや子犬飼育室がある愛護館関係が1,254m2である.
【業務内容】
  栃木県内における動物行政の中核として,次の3つの業務を柱に,市町村,獣医師会等の連携のもとに動物行政を推進している.
  1)動物愛護の普及啓発事業
  当センターは,平成6年9月23日に一般県民向け施設としてオープンした「愛護館」を拠点として,動物愛護部門の啓発事業を行っている.
  (1)子犬の譲渡会:県内で収容した子犬を毎月15頭前後,県民へ無料で譲渡している.この事業は,単に子犬の斡旋ではなく,子犬たちの命を救うとともに,模範的な飼い主を育てることが目的であり,この事業を開始して現在までに750名の新しい飼い主が誕生した.
  また,子犬の譲渡を受けた飼い主が中心になり,動物の適正な管理や知識の習得と,動物愛護の普及を図ることを目的として平成9年10月に「譲渡犬等飼い主の集いの会」が設立された.現在会員数は150名である.
  (2)犬のしつけ方教室:犬による人等への危害を防止することや,人と犬が共存できる地域社会を築くことを目的として,犬の成長度合いにあわせて,パピートレーニングクラス1(生後約3カ月や譲渡犬が対象),パピートレーニングクラス2(生後約3カ月〜6カ月)およびドッグトレーニングクラス(生後約1年以上)のしつけ方教室を実施している.例年約180名の参加がある.
  (3)動物ふれあい教室:動物を慈しむ心を育ててもらうために,おもに保育所,幼稚園および小学校低学年の児童の団体を対象に,犬の習性や正しい接し方の説明,ビデオ鑑賞の後,子犬とのふれあい等を内容としたふれあい教室を実施している.また,小学生および中学生対象の「動物愛護ふれあいサマースクール」も実施している.
  2)動物の管理事業
  狂犬病予防法,動物保護法,県条例に基づき,野犬等の捕獲や負傷動物収容および条例で定める特定動物の飼養に係る許認可を行っている.この事業は従来保健所で行っていたものであるが,センターに集中化することにより,苦情や相談の処理の迅速化を図り,サービスの向上にも努めている.
  3)調査・研究事業
  譲渡犬に対する追跡アンケート調査や来館者アンケート調査からのこれからの取組および県内で収容した犬の狂犬病抗体調査等を行っている.
【特 色】
  動物愛護の普及啓発を事業の中心とし,動物とのふれあいを体験するための施設であることから,犬・猫の収容処分施設は今市市にある県ドッグセンターで行っている.平成6年のオープン以来,平成11年の12月には来館者数が45万人を越え,センター業務の内容も徐々にではあるが県民に理解されつつある.


施 設 全 景