学会・研究会紹介(その11)
日本実験動物医学会
(Japanese Association for Laboratory Animal Medicine)
【名 称】日本実験動物医学会
【事務局所在地】
〒180-8602 東京都武蔵野市境南町1-7-1
日本獣医畜産大学実験動物学教室内
TEL 0422-31-4151(314)FAX 0422-33-2094
【組 織】
会 員 数
役員:理事7名(会長1名,副会長1名を含む),監事2名
委員会:学術集会委員会,実験動物学教育委員会,会報編集委員会,情報委員会,認定委員会
ホームページ
http://hayato.med.osaka-u.ac.jp/index/societies-j/jalam-j.html【沿 革】 本学会は平成5年(1993年)4月1日に実験動物医学研究会として発足し,平成8年(1996年)4月2日に日本実験動物医学会と名称を変更した.まだ7年弱の若い学会である.平成6年には日本獣医学会に対して所属研究団体の申請を行い,同学会の実験動物分科会としても活動している.
【目的と活動状況】
本学会の目的は実験動物医学の推進と実験動物学や動物実験に携わる獣医師の生涯教育を推進することが目的である.
わが国において実験動物に関わる獣医師は,これまで実験動物の飼育・実験環境の改善,微生物的遺伝的品質の向上,モデル動物の開発などにそれぞれの専門性を活かし,個々には大きな貢献をしてきた.しかし,社会の動物福祉への認識が高まるにつれ,実験動物の福祉への関心も高まってきており,大学や研究所等で行われる動物実験が福祉の面からどのように管理されているのかが問われるようになってきている.獣医師は動物と研究者の間に介在する第3者とでもいうべき立場であり,実験動物医学の知識,技術を駆使した的確で動物福祉と調和した動物実験の獣医学的管理が求められている.これらの能力を身につけるためには,臨床獣医学的知識と技術に加えて医学生物学的研究の方法の知識と経験,動物福祉に対する明確な考えを身につけることが必要である.そこで,本学会は卒後研修の場を確立することが一つの目的である.
さらに,実験動物医学の進歩も急であり,これらに貢献する研究発表の場の確立も大きな目的である.
これらの目的のために,設立当初から日本獣医学会大会の分科会として,一般講演に加えて実験動物医学の広い分野に関し教育セミナーやシンポジウムを行ってきた.平成11年秋の大会で12回目になる.
会誌としてニュースレターを年2回発行しており,メーリングリスト(JALAM)により会員間の意見の交換を図っている.さらに,大学獣医学科の実験動物学教育についても議論されている.
また,本学会は実験動物の福祉を求める社会の期待に応える獣医師の水準を保証するために,日本実験動物医学会認定獣医師制度を制定することを目的とした.このため,平成8年に認定制度検討委員会を発足させ,制度の必要性や規程,審査方法等の検討を行ってきたが,平成10年8月の臨時総会にて暫定制度の設立が承認された.これに基づき平成10年12月から認定審査を開始し,その結果平成11年3月25日付けで32名の獣医師が認定獣医師として登録された.認定獣医師は日本実験動物医学協会(JCLAM)のメンバー(Diplomates)として実験動物医学の発展のために貢献することが求められている.また,3年後(平成13年度)より資格審査に加え筆記試験等を行うことになっており,現在新制度を検討中である.
類似の制度はアメリカにおいて約40年前に確立されており(アメリカ実験動物医学協会:ACLAM),現在700名の獣医師が認定登録されているが,去る11月に米国でACLAMの理事会に本学会から2名の理事が出席した.そこではわれわれの制度を紹介するとともに,そこに参加したこれから制度の設立を予定しているEU諸国の代表と今後3者間で連絡を取り合い,国際的なハーモナイゼーションをめざして各協会の水準向上と,将来の相互認証をめざして活動をすることが確認された.
今般,動物保護管理法が改正され動物愛護管理法としてスタートしたが,動物実験についてもより一層の福祉への取り組みが求められている.さらにわが国の生命科学研究・技術をさらに発展させ,国際的に認められるためにも実験動物の福祉の取り組みは重要である.このためにも本学会の多面的で活発な活動が期待されている.
(文責 理事 笠井憲雪)
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