アンジンカチャン,インドネシアのバリ島で主として飼われている犬種だそうで,細顔の三角耳の短毛中型犬で,豆犬という意味とのこと.バリ島では狂犬病が発生していないというので最近まで犬の輸入が禁止されていたため,この犬種が残ったのだと.この犬種はあまり愛想がよくなく,見知らぬ人にやたら吠える.だから番犬として飼われていて,夜は飼い主の家に帰るけど,餌も満足に与えず放し飼いが多いため,日中道路にウロウロしてる.
  インドネシアで犬が多いのは,ヒンズー教が圧倒的に多いバリ島だけで,イスラム教が多数を占めるジャワ島や他の島では犬がきわめて少ないのだそうだ.イスラム教では,犬は豚と同じで不浄な生きものとされているからで,家庭では小鳥を飼うのが一般的だとのこと.
  このアンジンカチャンは,1匹が吠えると近くの犬が集まって加勢して一斉に吠え,車に轢かれて死んだ仲間の犬がいると,近所の犬が集まってきてその犬の廻りに座り込みお通夜をするという仲間意識が高いので有名である.
  一方,モスクワでも野犬が多く,旧ソ連時代市民に嫌らわれた悪政の一つに犬狩りがあったそうだ.衛生上保健当局は野犬を捕獲して処分するため,担当職員は月々一定数を捕獲するノルマが課せられていた.このため,ノルマに達しない職員は子供達と遊んでいる飼い犬まで野良犬扱いしたと.旧ソ連崩壊後は犬狩りが廃止されたため,今度は放浪犬が増え過ぎて市民を悩ましている.
  現在モスクワ市内の放浪犬は50万頭にも達するといわれ,市当局は捕獲復活を計画しているが,飼い犬まで間違って処分するのを防ぐため,捕獲した犬を一定期間保管をする場所と餌代がかさむことから市財政当局からの反対が強く,捕獲復活のメドが立たず困っていると.
  片やアメリカでは,野球や犬に咬まれるケガが多く,この治療費が年間1億240万ドルにも及ぶといい,いずれも子供の被害が多い.因みにケガで多いのは野球とソフトボールの事故で年間40万4,000件に上ぼり,次いで犬に咬まれるケガが33万4,000件だといわれている.
  所かわってローマでは,動物マフィアが横行しだして護身用や警察の捜査妨害に闘犬を飼い,これに試合をさせる賭博や密輸動物の販売などで,イタリアだけで3兆リラの収益があると推定され,このヤミ闘犬で年間5,000頭の闘犬が消えているともいわれている.動物保護の良識が頼りとローマ市民を嘆かせているとのこと.
  以上少し古いが新聞から拾った犬の四題咄し.(寅)