学会・研究会紹介(その9)

獣医麻酔外科学会

(Japanese Society of Veterinary Anesthesia & Surgery)

【名 称】 獣医麻酔外科学会
【事務局所在地】
〒113-8657 東京都文京区弥生1-1-1
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医外科学研究室内
TEL 03-5841-5404 FAX 03-5841-8996
【組 織】(平成11年4月1日現在)
  会員数:正会員1,307名,名誉会員3名
  役員:理事20名(会長1名,副会長2名を含む),監事2名,評議員107名
【沿 革】
  本学会は昭和44年4月に獣医麻酔技術の普及と研鑽を目的に獣医麻酔研究会として発足した.年2回の研究会の開催と麻酔技術講習会(全国2地区)を実施し,活発な研究会活動を行ってきた.
  その後,麻酔はおもに手術時に行われること,会員の多くは外科分野に興味を持つ臨床家であること,本邦において外科臨床分野の学会等がないこと,などを背景に,平成元年5月に現在の獣医麻酔外科学会と改称され,今日にいたっている.
【活動状況】
  本学会の会員の構成は,各獣医大学の外科系教官ならびに外科,麻酔に興味のある臨床家から成っている.したがって,本会の活動も外科臨床に関する研究の発表と卒後研修にあたる教育講演が中心である.具体的には,年2回(東京および地方)の学会,基本的あるいは最近はやや高度な麻酔関連技術の向上を目ざした獣医麻酔技術講習会(東京および他の1地区),さらに昨年度からは学会出席の容易でない会員をおもな対象とした卒後研修プログラムとして,全国の3〜4地区で地区講演会が開催されている.
  学会の中心は研究発表であり,これは特に各大学の学生,研究生,若手研究者ならびに活発な活動を行っている臨床家にとって有益な発表の場となっている.これに加え,シンポジウム,ワークショップ,教育講演などが行われる.また2年に1回程度,アメリカ獣医外科専門医の学会であるACVSと提携し,ACVSの専門医を呼んでSurgical Forum in Japanを開催している(今年は第4回を行った).これはACVSに講師の選出を依頼し,優秀な専門医を派遣してもらい2〜3日間にわたって最新の外科学情報を提供してもらうものである.
  一方,本学会は機関誌である獣医麻酔外科学雑誌を年6冊発行している.このうち2冊はそれぞれ春と秋の学会特別号である.和文ならびに英文の原著,短報等を受け付け,2人のレフリーによる審査を経て掲載される.残念ながら,多くの大学が本雑誌の価値を十分認めてくれておらず,投稿数は決して多くはない現状にある.しかし,外科学,麻酔学に関してはわが国唯一の雑誌であり,今後も論文数およびその質を高める努力を続けていくつもりである.
  現在,本学会では学会活性化を検討する小委員会を設置して,会員にとってより魅力的な活動を増やすための検討を行っている.この委員会に会員,非会員を問わず,多くの声を寄せて欲しいと願っている.また,本年度からは将来の専門医制度の導入を踏まえ,そのあり方を検討する小委員会を新たに発足させた.この問題はすぐに実施されるべきものとは考えていないが,現在日本獣医師会で検討中の認定医問題と合わせて,わが国の獣医学教育,卒後教育のあり方を検討する予定である.
  また,明年春の学会は,麻布大学の主催で獣医循環器学会と合同開催することが決定している.わが国の小動物獣医学に関係する学会,研究会の数と,そこに参画する会員の動向を考えると,今後このような合同開催,共同開催を積極的に実施することを考えるべき時期ではないかと考えている.多くの会員,非会員の参加をお願いしたい.

(文責:佐々木伸雄 会長)

今年6月の4th Surgical Forum in Japan講演前の打ち合わせ風景(右からACVS会長で馬の関節鏡手術を含む整形外科の第一人者コロラド大学のマックレース先生,通訳の日高軽種馬農協井上先生,筆者)