【海外家畜衛生事情のページ(第23回)】

米国における1997年の狂犬病調査(その4)

John W. Krebs, MS; Jean S. Smith, MS; Charles E. Rupprecht, VMD, PhD; James E. Childs, ScD
the Viral and Rickettsial Zoonoses Branch, Division of Viral and Rickettsial Diseases, National Center for Infecxtious Diseases, Centers for Disease Control and Prevention, 1600 Clifton Rd NE, Atlanta, GA 30333.
考 察
  報告の提出やサンプルの検査については,州ごとに異なる方法が採用されている.調査の方法も,多くの州では受けた報告をまとめる形態をとっているが,なかにはもっと積極的な調査を行っている州もある.狂犬病の検査を行った動物の数に関しては,報告のない州が多い.報告のある州については,検査で陽性が確認された動物のパーセンテージが,さまざまなファクターによって,実際の値からずれている場合もある.したがって,そのような報告の値は当該の州における狂犬病の傾向をおおまかに示しているにすぎず,しかもそれは,今述べたずれを補正しない限り,報告の提出方法やサンプルの検査方法が同じ期間のみでしか通用しないものと見るべきである.狂犬病の罹患率(あるいは発生率)は,ほとんどの動物種について,明確に把握できていない.報告されている症例数は,病気の発生状況をおおまかに反映しているにすぎず,その地域の野生動物や家畜のあいだでどのぐらいの範囲にウイルス感染が及んでいるかを示すものではないのである.本報告では,検査により狂犬病と確認され,州や準州やコロンビア特別区の衛生部局からCDCに報告されたケースのみを扱っている.したがって,検査を受けていないために狂犬病と認知されていない動物も多数存在する.