本誌では,平成11年1月号から,読者の皆様に誌面づくりに参加していただき,より身近な雑誌として感じていただけるよう,「私もひとこと」のコーナーを新設することといたしました. 本企画は,テーマをより個別のものとし,さらに,1カ月ごとにテーマを変えるのではなく,半年間程度同じテーマのご意見を募り(平成10年11月号709頁参照),誌上で会員の皆様に意見交換,意見のキャッチボールをしていただけるよう配慮いたしました.本号より標記テーマについてのご意見を紹介いたします. 「小動物診療に対するマスコミ報道」にひとこと 長谷川 隆(埼玉県獣医師会)
「ペットショップとグル,悪徳獣医の手口はこうだ」「悪徳獣医のニセ手術に騙されるな!」「こんな獣医にペットが殺される!」これらは昨年発売された週刊誌の見出しである.このような見出しを見ていると,ほんとうにはらわたが煮えくり返る思いだ. しかも雑誌だけでなく,単行本にも獣医師を誹謗した内容のものがあり,自分も今までに3冊ほど読んだ.近頃,やたらに獣医師のスキャンダル記事がよく目につく. なぜ,今,この種の記事が多いのだろうか.現在は空前のペットブームといわれ,ペットに関する記事を載せると,その雑誌がよく売れるといわれる.たとえば,おもに自然をテーマにしている月刊誌が,犬についての特集を組んだところ,売り上げが伸びたという.それ以降,ペットに関する特集がよくみられる. ペットといえば,飼い主からみれば,その専門家としてまず獣医師が浮かぶのだろう.獣医師は飼い主にとって,かけがえのないペットの命を預ける大切な存在である.その業界の内情を知りたいのは至極当然だ.出版社はそこに目をつけ,興味をそそるような見出しでもって,売り上げ部数を伸ばす.出版社の立場も理解できなくもない. しかし,マスコミの影響力は大きい.一般の人がこのような記事を鵜呑みにして,すべての獣医師がそうであるとの誤解を招く恐れがある.獣医師の社会的信用を落しかねない. ここで問いたいのは,報道されているような獣医師が果たしているのか.「火のない所に煙は立たぬ」というが,少なくとも獣医師会に所属している獣医師には,そのような人物はいないと思う.そう信じたい.動物に関しての職業で唯一の国家資格である獣医師.この資格を汚すことのないよう,常日頃から一人一人が自覚することが大切である. ところで,最近テレビでは,獣医師をテーマにしたドキュメント番組がよく見られる.それらの番組では,動物のために時間も惜しまず,一生懸命に治療を行っている獣医師が映し出されている.そこにはマスコミのいう「悪徳獣医」の姿はみじんもない. また,ドラマにも獣医師が主役や準主役でしばしば登場している.しかも二枚目俳優や美人女優が,その役をかっこよく演じている.その影響もあるのか,子どもたちが将来なりたい職業の上位に獣医師があげられていると聞く. 今,まさに世間では,獣医師に関心が高まっているのである. このような時代,われわれ獣医師は今回の一連のスキャンダル報道を,その真偽のほどは分からないが,一種の警鐘として受け止めてもよいであろう.そして,「子どもたちの憧れの職業となり,飼い主には信頼され,国民からは尊敬される」といった獣医師像を創り出すことが必要である. |
読者参加企画
「私もひとこと」原稿募集そこで日本獣医師会会報編集委員会では,平成11年1月号から,読者の皆様に誌面づくりに参加していただき,本誌をより身近な雑誌として感じていただけるよう,「私もひとこと」のコーナーを新設いたしました. 本企画も,一昨年の企画と同様に編集委員会が提示するテーマについて皆様のご意見をいただき,掲載いたしますが,このたびは,テーマをより個別のものとし,さらに,1カ月ごとにテーマを変えるのではなく,半年間程度同じテーマのご意見を募ります. 一つのテーマについての賛成意見,反対意見等を順次掲載して,誌上で会員の皆様に意見交換,意見のキャッチボールをしていただけるよう配慮いたしました. 現在は,「小動物診療に対するマスコミ報道」「学校飼育動物と獣医師とのかかわり」「獣医師の生涯教育」の3つのテーマについて皆様方の「ひとこと」を募集しております. 原稿は1,200字以内で執筆してください. なお,個人まはた特定の団体を中傷する内容の原稿以外は,原則としてその内容に係わらず掲載いたしますので,奮ってご投稿ください(匿名の原稿は受け付けません). このコーナーのテーマについても読者から募集いたします. 日本獣医師会 会報編集委員会
原稿送付先:〒107-0062 東京都港区南青山1-1-1 新青山ビル西館23F |