資 料

動 物 狂 犬 病 対 策 概 論 1998 年 版

州公衆衛生獣医師全米協議会
(NASPHV; National Association of State Public Health Veterinarians, Inc.)

 本概論の目的は,獣医師,公衆衛生業務従事者ならびにその他の狂犬病対策関係者に,狂犬病対策に関する情報を提供することである.ここに掲げる勧告は,合衆国内の動物狂犬病対策計画の基本となるものであり,これによって管轄の異なる部門の間で手続きが標準化され,国家レベルでの狂犬病対策計画が効果をあらわすことになる.本内容は1年ごとに再検討し,必要に応じて改定を行う.パートIでは望ましい非経口免疫の方法について述べる.合衆国農務省(USDA; United States Department of Agriculture)によって認可され,合衆国内で販売されているすべての動物用狂犬病ワクチンはパートIIにまとめて示す.パートIIIでは狂犬病対策の基本について具体的に説明する.

パートI:効果的な非経口免疫方法

A. ワクチンの接種
  動物用狂犬病ワクチンはすべて,獣医師によってあるいは獣医師による直接的な監督のもとで使用するものとする.
B. ワクチンの選択
  広範な狂犬病対策計画を進める場合には免疫有効期間が3年間のワクチンのみを用いることとする.これによって,どのような犬または猫の集団においても免疫獲得動物の割合を最も効果的に増加させることができる(パートII参照).
C. 接種ルート
  すべてのワクチンは仕様書あるいは添付の注意書きに従って投与することとする.筋肉内接種を行う場合には大腿の1カ所に注射する.
D. 野生動物および交雑動物に対するワクチン接種
  野生動物および交雑動物(野生動物と飼い犬または飼い猫との交配で生まれた動物)に対する非経口ワクチンの効果はこれまで確認されていないし,これらの動物用の狂犬病ワクチンはこれまで認可されていない.動物園や研究機関では貴重な動物を保護するためにワクチン接種の計画を立てることができるが,その方法を人の保護を目的として公衆衛生的な活動に応用してはならない.
E. 人に対する偶発的なワクチン暴露
  動物に狂犬病ワクチンを接種する過程で誤って人に接種することがおこり得る.このようにして不活化ワクチンに暴露されたとしても狂犬病発症の危険性はない.
F. ワクチン接種動物の識別
  すべての公的機関および獣医師は統一的な鑑札制度を採用するものとする.これによって地域,州,連邦および国際的な対策方法が実効をあらわす.動物の登録札は狂犬病ワクチン接種札と色と形で識別する.狂犬病ワクチン接種札は陽極酸化処理したアルミニウム製とし,厚さは0.064インチより厚いものとする.
1. 狂犬病ワクチン接種札

 1998年   オレンジ   楕 円 形 
1999年 ベ ル 形
2000年 ハート形
2001年 ロゼット形
2. 狂犬病ワクチン接種証明
  すべての公的機関および獣医師はNASPHVの「狂犬病ワクチン接種証明書」(様式51・略)を用いることとする.これはワクチンメーカーより入手可能である.同様の内容の様式をコンピューターからダウンロードして用いてもよい.