A1: | 新疾病の届出は、牛や豚等の家畜のみではなく犬や兔等についても行わなければなりません。 |
A2: | 届出は対象となる家畜が対象となる疾病に発生したときに必要となります。したがって、対象となる家畜以外の動物にみられた法定伝染病、届出伝染病は、届け出る必要はありません。しかし、その動物の周囲で対象となる家畜が飼育されており、それらの家畜に伝染する恐れがある場合等には、家畜保健衛生所に相談する必要があります。 |
A3: | まず、届出の対象となった疾病について説明する必要があります。その疾病の臨床症状、死亡率を含めた今後の見通し、他の家畜に対する影響(疾病の伝染力等)に関する十分な説明が必要となります。 疾病の病性について理解を得た上で、隔離、消毒等の必要性を説明して、協力を求めてください。その他必要な行政的措置については、家畜保健衛生所から指導を得て説明を行うか、家畜保健衛生所の担当者から飼育者に直接説明してもらってください。 届出の対象となった動物がペット動物の場合は、飼育者への説明をとくに慎重に行う必要があります。ペットとして一般的に飼育されている動物の中で、家伝法の対象となっているものとしては、犬と兔があります。犬の場合はレプトスピラ症が、兔の場合は野兔病、兔ウイルス性出血病及び兔粘液腫が届出伝染病に定められています。 これらの疾病については、家畜伝染病のように行政的措置としてと殺、殺処分及び病性鑑定のための処分は行われないので、その旨を説明して、まず、飼育者を安心させる必要があります。 また、レプトスピラ症や野兔病の場合は、人畜共通感染症でもありますので、人への感染防止についても飼育者の十分な理解を得るように努めて下さい。 |
A4: | 家伝法第6章には罰則の指定があり、家畜伝染病の患畜又は疑似患畜となったことを発見した際の届出義務違反には3年以下の懲役又は10万円以下の罰金が課せられると規定されています。(家伝法63条第1号)。 同法において、届出伝染病及び新疾病の届出義務違反には罰則の適用はありませんが、義務違反が度重なるときは獣医師法の規定による獣医師免許の取り消し又は業務の停止処分の対象となるものと考えられます。 |
A5: | 届出伝染病の選定は、家畜の伝染性疾病のうち、発生があった場合の家畜への影響、防疫措置を実施するに当たっての難易度、人への影響等を総合的に考慮して指定しています。犬のレプトスピラ症については、病性も強く、犬それ自体だけでなく、牛、豚等のいわゆる基幹家畜へ感染するおそれがある伝染性疾病であるため、届出伝染病に指定しました。 |
A6: | 一般飼主に対する普及対策は特にとっていませんが、本病の診断を行うのは獣医師であることから、臨床獣医師を対象として講習会の開催、パンフレットの配付等により普及を行っています。 |
A7: | レプトスピラ症の診断は、臨床症状、血液検査及び発生状況に基づいて行うのが実用的と思われることから、これらの点を総合的に判断して診断して下さい。 今後、さらに診断の精度を高めるために血清学的検査の効果的な活用について検討を進めております。 また、不明な点がある場合には最寄りの家畜保健衛生所にご相談下さい。 なお、診断に当たっての留意点を以下に示します。
|
A8: | レプトスピラ症の疑いがある場合は、「疑症」として届け出て下さい。その後、レプトスピラ症でないと診断した場合は、届け出る必要はありません。ただし、レプトスピラ症として診断した場合には、「真症」として届け出て下さい。 |
A9: | レプトスピラ症等の届出伝染病は、行政庁が早期に疾病が発生したことを把握し、その疾病の発生に伴う被害を防止すること等を目的としています。このため、犬から牛・豚等へ感染が確認された等、家畜に重大な影響が生ずる場合等には必要に応じて家畜伝染病予防法第5条に基づく家畜防疫員の検査やこれに基づく助言、指導等を行うことがあります。なお、法定伝染病のように感染犬及びその同居犬に対して殺処分、移動制限等の強力な法的規制を加えることはありません。 |
A10: | 国は、都道府県からの報告をとりまとめて集計し、都道府県に対して、発生状況等の情報を提供するとともに、流行地の犬、あるいはレプトスピラ症に感染する危険性の高い状態にある犬について、犬から牛・豚への感染が確認された等、家畜衛生に重大な影響を及ぼすと思われる場合には、予防のために必要な指導を行うことがあります。都道府県は、国の指導を受けて必要により飼主等に対してレプトスピラ症を予防するための指導や助言等を行うことがあります。 |
A11: | 飼主の依頼により行う検査に対する費用は、飼主の負担となります。ただし、犬から牛・豚等の家畜に感染が認められた場合などは、家畜伝染病予防法第51条の規定により、家畜の伝染性疾病の予防のために家畜防疫員が立入り検査を行うことがあります。この立入り検査に関する費用については、国及び都道府県が負担します。 |
A12: | 感染初期では抗体が上昇しない場合があるので、ペア血清による検査が必要となります。過去の感染、ワクチンによる抗体価の上昇は、飼主からの稟告を丁寧に行い、臨床症状等により鑑別して下さい。 |
A13: | レプトスピラ症の感染は、通常、汚染された尿と粘膜や皮膚の擦傷との接触により起こります。このため、入院させる場合には感染犬と同居犬(その他の動物)の接触を避けるようにし、汚染源となりうるものについては逆性石鹸、ヨード系消毒剤による消毒を実施して下さい。また、人畜共通伝染病であるため、感染犬を扱う際には手指の傷からの感染防止に努めるなど注意を払う必要があります。 |
A14: | 山中でのレプトスピラによる暴露の防止は、現実的には期待できないので、ワクチン接種による予防を中心に行って下さい。レプトスピラ症に感染した犬と濃厚接触があり、感染の疑いがある飼主については、病院での検査を指導して下さい。また、獣医師が感染の疑いがあると診断した事例については、疑症(疑似患畜ではありません)として届け出て下さい。 |
A15: | 感染犬との濃厚な接触、傷のある手で尿に触れた等、レプトスピラに感染した疑いがあれば、検査を受けることをおすすめします。 |
A16: | 退院させたとしても治療に差し支えがなく、家畜、人への感染防止措置がとれると獣医師が判断した場合は退院させて良いと考えられます。ただし、この犬は感染源となり得るため、その趣旨を飼主に説明し、同居犬(家畜)等へのまん延の防止、人への感染の防止に努めてもらう必要があります。 |
A17: | 同居犬(家畜)等への感染を防止するために、感染犬と同居犬との濃厚接触は避けて下さい。人への感染を防ぐために飼主等は感染犬との濃厚接触を避けて下さい。また、皮膚に擦傷がある場合には、感染の危険性は高くなりますので気を付けて下さい。排尿の際には下水、水田、土壌等の菌が増殖するような高温、多湿の場所は避けるようにして下さい。 |
A18: | レプトスピラ菌は尿中に排出され、これに汚染されたものから感染すること、人畜共通伝染病であることを説明し、同居犬(他の動物)への感染、人への感染について注意を払うよう指導して下さい。濃厚接触により感染の疑いがある飼主に対しては、病院での検査をすすめるようにして下さい。 |