別表第一(第九条、第三十七条関係)  検 査 の 方 法
区 分 術  式 要  領 判   定
ブルセラ病 1 凝集反応検査
   次の一又は二の方法による。ただし、二の検査の反応が陰性でない場合には、一の検査を行う。
  一 試験管凝集反応法
  診断に用いる抗原は、○・五%石炭酸加生理食塩液でブルセラ診断用菌液の原液を十倍にうすめたものとする。
  二 急速凝集反応法
    抗原は、ブルセラ急速診断用菌液とする。2 補体結合反応検査
  一 次の場合に実施する。
  イ 試験管凝集反応法による反応が疑反応又は陽性の場合
  ロ 凝集反応検査以外の検査の結果ブルセラ病にかかつているおそれがあると認められた牛についての検査の場合
  ハ 疑似患畜についての再検査の場合
  ニ 患畜又は疑似患畜と同居した牛についての検査の場合
  ホ その他必要と認める場合
  二 診断に用いる抗原は、生理食塩液でブルセラ補体結合反応用可溶性抗原の原液を二単位となるようにうすめたものとする。
3 凝集反応検査及び補体結合反応検査以外の検査(ただし、三の検査は必要と認める場合に行えばよい。)
  一 疫学的検査
  二 臨床検査
  三 細菌検査
1 試験管凝集反応法の場合
  一 二十時間から二十四時間までの間三十七度の温度で感作した時における希釈血清(血清を○・五%石炭酸加生理食塩液で五倍、十倍、二十倍及び四十倍に希釈し、これらに等量の抗原を加えて血清の最終希釈倍数をそれぞれ十倍、二十倍、四十倍及び八十倍としたもの)の凝集の程度により陽性、陰性又は疑反応を判定すること。
  二 四十倍以上の希釈血清において五十%凝集以上(原血清一cc当たり一○○国際単位以上)であるものを陽性とし、二十倍希釈血清において二十五%凝集以下(原血清一cc当たり五十国際単位未満)であるものを陰性とし、陽性及び陰性でないもの(原血清一cc当たり五十国際単位以上一○○国際単位未満)を疑反応とすること。
2 急速凝集反応法の場合
  一 二十度から三十度までの温度の下において、ガラス平板上に血清○・○四cc及び○・○二ccを置き、これらにそれぞれ急速診断用菌液○・○四ccを混和して五分を経過するまでの間におけるその凝集の程度により判定すること。
  二 一の混和液のすべてが凝集しないもの及び一の混和液のうち血清○・○四ccとの混和液が凝集し、血清○・○二ccとの混和液が凝集しないものは、これを陰性とすること。
3 補体結合反応の場合
  一 十六時間から二十時間までの間四度から七度までの温度で感作した希釈血清(非働化血清を生理食塩液で五倍、十倍及び二十倍に希釈し、これらに等量の抗原とあらかじめ二単位となるように検定した倍量のモルモット補体を加えたもの)に二%めん羊感作血球液(あらかじめ検定した二単位の溶血素液と二%めん羊血球液を同量混和したもの)を加えて、三十分間三十七度の温度で感作した後の溶血の程度により判定すること。
  二 五倍の希釈血清において五十%溶血阻止未満であるものを陰性とすること。
4 凝集反応検査において陰性であつても凝集反応検査以外の検査の結果ブルセラ病にかかつているおそれがあると認められた牛については、十四日から二十一日までの期間において試験管凝集反応法及び補体結合反応法による検査を行うこと。
5 ブルセラ病の疑似患畜については、十四日から六十日までの期間において行う検査を繰り返すこと。
6 ブルセラ病の患畜又は疑似患畜と同居した牛については、十四日から六十日までの期間において行う検査を繰り返し、その牛及びその牛と同居するすべての牛が陰性となるまで検査を行うこと。
1 次のいずれかに該当するものは、ブルセラ病の患畜とする。
  一 試験管凝集反応法による反応が八十倍希釈血清において陽性であるもの
  二 試験管凝集反応法による反応が四十倍希釈血清において陽性であり、補体結合反応法による反応が陰性でないもの
  三 細菌検査においてブルセラ病の病原体が認められるもの
2 次のいずれかに該当するもの(3の四に該当するものを除く。)は、ブルセラ病の疑似患畜とする。
  一 試験管凝集反応法による反応が四十倍希釈血清において陽性であり、補体結合反応法による反応が陰性であるもの
  二 試験管凝集反応法による反応が疑反応であり、補体結合反応法による反応が陰性でないもの
  三 試験管凝集反応法による反応が陰性であり、補体結合反応法による反応が陰性でないもの
3 次のいずれかに該当するものは、ブルセラ病の患畜又は疑似患畜でないものとする。 一 試験管凝集反応法による反応が陰性であるもの(2の三に該当するものを除く。)
  二 急速凝集反応法による反応が陰性であるもの
  三 試験管凝集反応法による反応が疑反応であり、補体結合反応法による反応が陰性であるもの
  四 ブルセラ病の疑似患畜についての再検査の判定が引き続き二回疑似患畜であるもの
結核病 1 ツベルクリン検査
皮内注射法による。ただし、牛については、あらかじめ農林水産大臣に協議して皮下注射法によることができる。
  一 皮内注射法
   イ 注射に用いるツベルクリンは、牛にあつてはツベルクリン原液とし、山羊にあつては五十%ツベルクリン液とし、注射量は、○・一ccとする。
   ロ 注射部位は、尾根部の一側の皺壁(すうへき)の軟部を消毒用アルコールで十分消毒した後皮内に注射するものとする。
  二 皮下注射法
   注射に用いるツベルクリンは、○・五%石炭酸水でツベルクリンの原液を十倍に薄めたものとし、注射量は、次の区分によるものとする。
  満一才以上 五cc
  満一才未満 三cc
2 ツベルクリン以外の検査
  一 疫学的検査
  二 臨床検査
1 皮内注射法の場合
  一 ツベルクリンの注射後七十二時間を経過した時における注射部位の皮膚の厚さと注射前における同部位の皮膚の厚さとの差(以下「腫脹の差」という。)及び注射部位の皮膚の組織の硬結(以下「硬結」という。)の有無により陽性、陰性又は疑反応を判定すること。
  二 注射前における注射部位の皮膚の厚さの測定と注射後における注射部位の皮膚の厚さの測定は、やむをえない事由がある場合のほかは、同一人が行うこと。
  三 腫脹の差が五ミリメートル以上であつて硬結を伴うものを陽性、腫脹の差が三ミリメートル以下であつて硬結を伴わないものを陰性、陽性及び陰性でないものを疑反応とすること。
  四 ツベルクリンの注射後四十八時間を経過した時における注射部位の皮膚の厚さと注射前における同部位の皮膚の厚さとの差が五ミリメートル以上であつて硬結を伴うものは、その時において陽性の判定をすることができる。
  五 結核病の疑似患畜については、十四日から六十日までの期間において行う検査を繰り返すこと。
  六 結核病の患畜又は疑似患畜と同居した牛については、十四日から六十日までの期間において行う検査を繰り返し、引き続き二回の検査においてその牛及びその牛と同居するすべての牛が陰性となるまで検査を行うこと。
2 皮下注射法の場合
  一 ツベルクリンの注射後八時間から二十四時間までの間に二時間ごとに行う検温における最高体温と注射前に四時間ごとに三回以上行つた検温における最高体温との差及び注射後における熱候により陽性、陰性又は疑反応を判定すること。
  二 体温の差が一度以上の増温を示し、熱候の持続するものを陽性、○・六度以下の増温にとどまり熱候の持続しないものを陰性、陽性又は陰性でないものを疑反応とすること。
  三 注射後二十時間の検温において引き続き体温の上昇する傾向のあるものは、更に二十四時間から三十六時間の間に検査を行い、判定をすること。
1 次のいずれかに該当するものは、結核病の患畜とする。
  一 ツベルクリンの反応が陽性であるもの
  二 ツベルクリンの反応が陽性でないがツベルクリンによる検査以外の検査により明らかに結核病にかかつていると診断できるもの
  三 結核病の疑似患畜についての再検査において引き続き二回ツベルクリン反応が疑反応であるもの
2 次のいずれかに該当するものは、結核病の疑似患畜とする。
  一 ツベルクリン反応が疑反応であるもの
  二 ツベルクリンの反応が陰性であるがツベルクリンによる検査以外の検査により結核病にかかつている疑いがあると診断できるもの
3 1及び2に該当しないものは、結核病の患畜又は疑似患畜でないものとする。
ヨーネ病 1 酵素免疫測定法(以下「エライザ法」という。)による検査
   牛についての検査の場合に実施する。ただし、必要と認める場合には、ヨーニン検査を行うことができる。
2 ヨーニン検査
  一 注射に用いるヨーニンは、ヨーニン原液とし、注射量は、○・一ccとする。
  二 注射部位は、尾根部の皺壁(すうへき)の軟部を消毒用アルコールで十分消毒した後皮内に注射するものとする。
3 補体結合反応検査
   次の場合に実施する。
  一 ヨーニン検査の結果ヨーネ病にかかつているおそれがあると認められためん羊又は山羊についての検査の場合
  二 患畜又は疑似患畜と同居しためん羊又は山羊についての検査の場合
  三 その他必要と認める場合
4 エライザ法による検査、ヨーニン検査及び補体結合反応検査以外の検査
  一 疫学的検査
  二 臨床検査
  三 細菌検査
1 エライザ法による検査の場合
  一 保存液の除去後、洗浄液で洗浄したヨーネ病診断用抗原を固相化した検査用プレート(以下「プレート」という。)に、エライザ緩衝液(以下「緩衝液」という。)で所定の倍数に希釈した指示血清及び被検牛血清(マイコバクテリウム・フレイ菌で吸収処理したもの)を分注した後、密封し、二時間二十五度の温度で感作すること。
  二 一により感作したプレートを洗浄液で洗浄し、これに緩衝液で所定の倍数に希釈した酵素標識抗体を分注した後、密封し、二時間二十五度の温度で感作すること
  三 二により感作したプレートを洗浄液で洗浄し、これに基質溶液(使用する直前に調整したもの)を分注した後、十五分間二十五度の温度で反応させ、反応停止液を分注し、所定の波長で測定した吸光度値により判定すること。
  四 吸光度値が○・四以上であるものを陽性とし、○・四未満であるものを陰性とすること。
2 ヨーニン検査の場合
  一 ヨーニンの注射後四十八時間から七十二時間までの間における腫(しゅ)脹の差を測定すること。 二 注射前における注射部位の皮膚の厚さの測定と注射後における注射部位の皮膚の厚さの測定は、やむをえない事由がある場合のほかは同一人が行うこと。
3 補体結合反応検査の場合
  一 十六時間から二十時間までの間四度から七度までの温度で感作した希釈血清(非働化血清を生理食塩液で五倍、十倍及び二十倍に希釈し、これらに等量の抗原とあらかじめ二単位となるように検定した倍量のモルモット補体を加えたもの)に三%めん羊感作血球液(あらかじめ検定した三単位の溶血素液と三%めん羊血球液を同量混和したもの)を加えて、三十分間三十七度の温度で感作した後の溶血の程度により抗体価を測定すること。
4 ヨーネ病の疑似患畜については、細菌検査(分離培養)又は牛にあつては初回検査の三十日後(ヨーニン検査を実施していないの場合は十四日後)にエライザ法による検査、めん羊若しくは山羊にあつては初回検査の九十日後にヨーニン検査及び補体結合反応検査を実施すること。
1 次のいずれかに該当するものは、ヨーネ病の患畜とする。
  一 慢性で頑固な水様性下痢、栄養不良、泌乳量の低下等の臨床症状を示し、細菌検査(直接鏡検)で集塊状の抗酸菌が証明されたもの
  二 細菌検査(分離培養)において菌分離陽性となつたもの
  三 エライザ法による反応が陽性であり、ヨーニンの反応で腫(しゅ)脹の差が二ミリメートル以上であるもの
  四 ヨーニンの反応で腫(しゅ)脹の差が二ミリメートル以上であり、補体結合反応法による抗体価が十倍希釈血清以上であるもの
  五 ヨーネ病の疑似患畜についてのエライザ法による再検査においてエライザ法による反応が陽性となつたもの
  六 ヨーネ病の疑似患畜についての九十日後のヨーニン検査及び補体結合反応検査による再検査において四又は2の四、五若しくは六になつたもの
  七 ヨーネ病の疑似患畜であるめん羊又は山羊について、初回検査後二週間隔で三回以上補体結合反応検査を行い、抗体価の顕著な上昇及びその持続が認められたもの
2 次のいずれかに該当するものは、ヨーネ病の疑似患畜とする。
  一 実施した検査がエライザ法によるものだけである場合に、エライザ法による反応が陽性であるもの
  二 エライザ法による反応が陰性であるが、ヨーニンの反応で腫(しゅ)脹の差が二ミリメートル以上であるもの
  三 エライザ法による反応が陽性であり、ヨーニンの反応で腫(しゅ)脹の差が二ミリメートル未満であるもの
  四 ヨーニンの反応で腫(しゅ)脹の差が四ミリメートル以上であり、補体結合反応法による抗体価が五倍希釈血清以下であるもの
  五 ヨーニンの反応で腫(しゅ)脹の差が二ミリメートル以上四ミリメートル未満であり、補体結合反応法による抗体価が五倍希釈血清であるもの
  六 ヨーニンの反応で腫(しゅ)脹の差が二ミリメートル未満であり、補体結合反応法による抗体価が十倍希釈血清以上であるもの
3 1及び2に該当しないものは、ヨーネ病の患畜又は疑似患畜でないものとする。
馬伝染性貧血 1 寒天ゲル内沈降反応検査
2 寒天ゲル内沈降反応検査以外の検査
  一 疫学的検査
  二 臨床検査(ただし、ハについては必要と認める場合に行えばよい。)
   イ 体温検測
   ロ 心臓機能の状態
   ハ 赤血球数の計算
1 寒天ゲル内沈降反応検査の場合
  一 精製寒天○・八g、アジ化ナトリウム○・一g及び生理食塩液一○○ccの比率で混合し、加熱溶解したものを、透明なガラス平板上におおむね厚さ三ミリメートルとなるように注ぎ、凝固させ寒天平板とした後、直径五ミリメートルの穴を一個あけ、その周りに三ミリメートルの等間隔で直径五ミリメートルの穴を六個あけること。
  二 寒天平板にあけられた七個の穴のうち中心の穴に馬伝染性貧血診断用寒天ゲル内沈降反応抗原(以下「抗原」という。)、周辺の六個の穴のうち二個の穴(二個の穴の位置は、中心の穴をはさんで対面する位置とする。)に指示血清、他の四個の穴一個につき一頭の被検馬血清(以下「血清」という。)をそれぞれ充満した後、二十四時間から九十六時間の間湿度を保ちながら常温で反応させ、抗原と血清との間に現れる沈降線の有無により判定すること。
  三 寒天ゲル内沈降反応検査の判定は次により行うこと。
   イ 抗原と血清との間に、抗原と指示血清との間に生じた沈降線(以下「標準沈降線」という。)と融合する沈降線を生ずるものを陽性とすること。
   ロ 抗原と血清との間に沈降線が見られず、標準沈降線が外反又は直進して当該血清を注入した穴に接近し、又は到達しているものを陰性とすること。
   ハ イ及びロに該当しないものを疑反応とすること。
2 寒天ゲル内沈降反応検査以外の検査の場合
  一 心臓機能の状態は、心拍動及び脈拍の検査を行い、その結果、心拍動が虚弱なもの、心悸亢進を認めるもの、拍動数の著しい増加を認めるもの又は心悸亢進しやすく、かつ、弱脈若しくは不整脈を伴うものを心不全とすること。
  二 赤血球数の計算は、血球計算機を用いて行うこと。
3 馬伝染性貧血の疑似患畜については、検査の日から十五日から二十五日の間に、寒天ゲル内沈降反応検査の再検査を行うこと。
  この場合には、当該馬の原血清、二倍希釈血清、四倍希釈血清及び八倍希釈血清について検査を行い、その判定はそれぞれの希釈血清ごとに行うこと。
1 次のいずれかに該当するものは、馬伝染性貧血の患畜とする。
  一 寒天ゲル内沈降反応検査の結果が陽性であるもの
  二 寒天ゲル内沈降反応検査の結果は疑反応であるが、認めることができる原因がないのに、時々発熱し、血液一立方ミリメートル中の赤血球数が五○○万以下のものであつて心不全を認めるもの
  三 寒天ゲル内沈降反応検査の結果は疑反応であるが、認めることができる原因がないのに血液一立方ミリメートル中の赤血球数が四○○万以下のものであつて次の条件のいずれかを備えるもの
   イ 認めることができる原因がないのに時々発熱すること。
   ロ 認めることができる原因がないのに心不全を認めること。
  四 馬伝染性貧血の疑似患畜についての再検査の結果、いずれか一の希釈倍率において陽性であるもの
2 次のいずれかに該当するものは、馬伝染性貧血の疑似患畜とする。
  一 寒天ゲル内沈降反応検査の結果が疑反応であり、馬伝染性貧血の患畜と認められないもの
  二 寒天ゲル内沈降反応検査の結果は陰性であるが、次の条件のいずれか二以上を備えるもの
   イ 認めることができる原因がないのに時々発熱すること。
   ロ 認めることができる原因がないのに血液一立方ミリメートル中の赤血球数が五○○万以下であること。
   ハ 認めることができる原因がないのに心不全を認めること。
3 次のいずれかに該当するものは、馬伝染性貧血の患畜又は疑似患畜でないものとする。
  一 1及び2に該当しないもの
  二 馬伝染性貧血の疑似患畜についての再検査の結果、いずれの希釈倍率においても陽性でないもの