紹 介
学校飼育動物:獣医師会と教育委員会との連携事業の
成果に関する調査報告(そのII)
文部科学省国立教育政策研究所:科研費研究
「初等中等教育における生命尊重の心を育む実験観察や飼育の在り方に関する調査研究」より
中川美穂子(日本小動物獣医師会・学校飼育動物対策委員会副委員長)
5.担当教師の気持ち(図4)
担当教師が続けて飼育を担当したいかどうかの気持ちを調査したところ,積極的ではないが「やってもよい」という教師が両群とも全体の70%近くみられた.理由として非連携群には「ほうって置けない」「死ぬ と困る」「児童によさを伝えたい」などが,連携群に比べて多くみられた.
特筆すべきは連携群に,「動物が好き」と答えた教師が43%もおり,非連携の25%と明らかに差が生じていたことである.獣医師の飼育支援により教師に動物を可愛がるゆとりが出ていると思われる.
図4 連携地区 53名 非連携地区 56名
6.獣医師会との連携の評価
今回の連携群は全例とも獣医師が学校訪問をして教師,児童と交流をしている.教師に各学校での実際の活動を上げてもらった.(図5)
学校により相当差があるが,さまざまな支援をしている.連携群でも「動物の治療」は多いがそれ以外の活動がみられる.訪問活動を通 じて獣医師との信頼関係ができると,学校は「ゲストティチャー」や「講話」など,児童の体験を豊かにするために専門家の協力を求めてくる.
今,全国的に行われている衛生調査,指導については特に教師は言及していない.衛生調査や指導は「日常の飼育指導」の一環であり,ごく限られた部分である.学校が獣医師に求めているのはもっと教育に直接関わることだとわかる.なお,「動物の治療」の件数は,獣医師が学校に訪問していくうちにだんだん減少してくることが,先進地域でみられている.
連携群では,獣医師会との連携事業を「非常によい」が39%,「よい」が44%と,合計83%もの学校が歓迎している(図6).また,非連携群の学校では,獣医師会との連携を望むのが58%であった.望まない教師はまだ獣医師を信用できないのだろうと思われる.
図5 連携地区 80校
図6 連携地区 80校